人気のタワーマンションの中でも、特にステータスが高い憧れといえば最上階。誰でも一度は、「どんな人が住んでいるのかな」「いつか住んでみたい」と考えたことがあるのではないでしょうか。
実は、マンションの最上階は、ほかの階に比べて飛び抜けて価格が高いものの、その価格の理由は明確ではありません。むしろ、住みやすさや災害時のリスクを考えると、「不当に高いのでは」と見る向きもあります。
マンションの最上階、価格は妥当!?高くても最上階を買う意味とは?
- マンションバリューマガジン編集部
- 株式会社マーキュリー
それでも、マンションの最上階が人気なのはなぜなのでしょうか。マンション最上階を買うことの意味と、購入時の考え方についてご紹介します。
マンションの価格はどうやって決まる?
大規模な分譲マンションやタワーマンションは、広さや間取りにいくつかのパターンがあり、パターンごとに値段が異なります。さらに、同じ広さで同じ間取りだったとしても、住戸の階数や方位が違えば値段も変わります。間取りは同じなのに、マンション内に同じ価格の住戸が存在しないことも珍しくありません。
こうしたマンションの価格は、簡単にいえば「売れやすい部屋は高く、売れにくい部屋は安く」という、価格設定の法則にもとづいて決められています。
売れやすい部屋とは、多くの人が「買いたい」と思う人気の部屋です。この人気度を判断する基準となるのは、つぎの5つの項目です。
1 住居の階数
同じマンションの中でも特に人気なのは、眺望の良い部屋です。そのため、周囲の建物の影響を受けにくく、開放感がある高層階ほど価格は高くなります。眺望が自慢のマンションでも、富士山や東京タワーなどを、ほかの建物に干渉されることなく見渡せるのは、高層階だけということもあるでしょう。こうした場合は、よりプレミアムな住戸として高層階の価格がアップすることになります。
さえぎる物がない高層階は、日当たりが良く、部屋の中が常に明るいことも人気の理由です。
2 部屋の位置
部屋の位置も人気を分けるポイントです。マンションは戸建てと違って両隣が密接しているため、片側に住戸がない角住戸は中住戸より人気が高く、価格も高めに設定されています。2方向以上から採光が取れるので室内が明るいことや、眺望の良い部屋が増えること、ワンフロアあたりの数が少ないという希少性も、角住戸の魅力といえるでしょう。
3 住居の広さ
同じ階の同じ間取りであっても、専有面積が広ければ価格は高くなります。
4 住居の方角
窓やベランダなど、採光性の高い場所の方角によっても価格は異なります。太陽の光がたくさん入れば、それだけ部屋は明るく、洗濯物も乾きやすくなるからです。一般的に、マンションの中住戸の採光は、ベランダからがほとんどなので、ベランダがどの方角を向いているかという点が重視されることになります。
一番人気なのは、やはり日当たりのいい南向き。次いで東向き、西向き、北向きとなっており、価格も人気に応じて設定されています。
5 個別の住居条件
何らかの外的要因によって環境がわずかでも害される可能性がある住戸は、同じ面積・同じ間取り・同じ階数であっても価格が安くなります。価格が安くなる具体的な外的要因は、以下のようなものがあります。
・エレベーターが近い
住民が頻繁に乗り降りするエレベーターがすぐ近くにある住戸では、夜間の足音が気になったり、モーター音が気になったりする可能性があります。
・ごみ置き場が近い
においの対策がきちんとされていても、住民がごみを捨てるルート上に住戸がある場合、持ち運んでいるときのごみのにおいやドアの開閉音が気になるかもしれません。
・エントランスや共用施設が近い
大規模マンションでは、日々多くの人がエントランスを通過して出入りします。そのため、エントランスの近くの部屋は物音や声が気になる分、価格が安く設定されています。同様に、公園など不特定多数の人が集まる場所に近接した部屋も、価格が調整されます。
マンション最上階のメリットは?
マンションの価格設定の法則にもとづくと、眺望や日当たりが最も良く、騒音やにおいとも無縁で、ほかの住戸と異なる広々とした間取りが多い最上階に高値がつくことになります。
ほかにも、マンション最上階には次のようなメリットがあります。
上からの騒音を気にせずに済む
マンションの場合、上階の足音や家具を動かす音など、騒音が気になることがありますが、最上階ではその心配がありません。
資産価値が高い
マンションを売るために査定をすると、最上階であるというだけでプラスのチェックがつきます。価格が下がりにくいだけでなく、場合によっては、プレミアムがついて新築時より価格が上がる可能性もあります。
害虫が出にくい
一定以上の階数まで行くと、蚊や蠅などの虫を見かけなくなります。ただし、上昇気流やエレベーターなどに乗って運ばれてくることはあるので、絶対に出ないとはいえません。
ゴキブリも下層階に比べれば出にくいですが、壁や配管を伝って上がってくることがあるので注意が必要です。
最上階限定の間取りがあり希少性が高い
マンション最上階には、メゾネットやペントハウスといった、「最上階だけ」「最上階ならでは」の希少性の高い間取りが存在します。唯一無二であれば、当然価値は上がります。
最上階に住む理由は合理性ではない?
最上階に住むメリットを踏まえて、改めて最上階の価格設定について考えてみると、やはり合理的ではないでしょう。眺望や日当たりという点では、ほかの住戸にも同じようなレベルのところがあるでしょうし、災害時の避難のしにくさや地震の揺れの大きさなどを考えると、最上階がベストであるとはいえないからです。
それでも最上階を選ぶ理由は、客観的に価格が高いことがわかりやすく、ステータスを実感できるからではないでしょうか。最上階に住んでいるということは、明らかにほかの住戸より高い金額を支払って購入しているということであり、それだけの支払い能力があるということです。これまでの努力や仕事の成果をわかりやすく体現できるのが、最上階であるといってもいいでしょう。
端的にいえば、最上階に住む理由はステータスに尽きます。中層階のほうが安全性は高いかもしれないとわかっていても納得して最上階を買える人や、「なぜ最上階に住むのか」と問われたときに「住みたいから」と言い切れる人は、最上階を買うべきだといえます。
最上階にもデメリットはある
最上階に住む理由はステータスだと考える人は、最上階にデメリットがあってもあまり気にならないでしょう。デメリットに目が行くのは、ステータス以外の理由を重視して買った場合です。
しかし、マンションは高い買い物ですから、デメリットを知らずに購入して、「こんなはずじゃなかった!」と後悔することになっても簡単に買い替えることはできません。購入前に、マンションの最上階のデメリットを知っておきましょう。
災害が起きたとき避難しにくい
いつ、どこで災害が起きるかわからない今、災害時のリスクは最上階に住む最大のデメリットだといえるかもしれません。大きな災害で停電が起きると、エレベーターが止まり、移動手段が階段に限られます。災害自体が落ち着いた後も、断水が起きればトイレを使うのにも下まで下りなければならなくなったり、重い水を持って何度も往復することになったりと、体への負担が大きくなるでしょう。
また、地震による揺れも不安要素です。その感じ方は、建物の構造によっても異なります。
<建物の地震対策の種類>
・免震
免震は、地盤と建物のあいだに免震装置が組み込まれ、建物へ直接揺れを伝えずに衝撃をやわらげる構造です。
・制震
制震は、建物内部に制震部材が組み込まれ、揺れを吸収する構造。上階に行くほど揺れを感じやすくなる高層ビルや、高層マンションなどの建物に有効とされます。
・耐震
耐震構造の建物は、揺れに耐えられるよう、骨組みそのものの強度を高めています。
夏は暑く冷房が効きにくい
最上階は、当然ながら下層階より太陽に近いため、夏場はかなり暑くなります。マンションの屋根や壁に使われるコンクリートは蓄熱しやすく、一度温まるとなかなか冷えません。さらに、部屋の内部に向かって熱を放射することも最上階が暑くなる一因でしょう。近年、マンションの断熱性は飛躍的に高まり、暑さは軽減されつつありますが、下層階に比べれば暑いことは覚悟しておくべきです。
防犯面で注意が必要
オートロックで防犯カメラを完備しているなど、一見、防犯性が高いように感じるマンションでも、空き巣には注意が必要です。特に、屋上に出入りできるマンションは、不審者が外から入り込みやすく、潜んでいても気付きにくくなります。
空き巣は侵入しやすい下層階を狙うイメージがありますが、最上階は価格が高いため「お金を持っている」という印象があることや、「最上階だから大丈夫」と無施錠で出掛ける人が多いことから、最上階を狙うケースも多いそうです。屋上から入り込んで、最上階をメインターゲットにしていたという空き巣の例も過去にありました。
エレベーターの待ち時間が長い
最上階は、1階までの距離が長いため、エレベーターの待ち時間が長くなる傾向があります。乗りたいときにほかの階で乗り降りする人がいたり、下降しているところだったりすると、下に下りるまで時間がかかることもあるでしょう。マンション最上階の場合、確実に乗れるというメリットはあるものの、通勤・通学の時間帯などは、余裕を持って家を出ることが求められます。
エレベーターの台数や位置などは、マンション最上階を購入する前に必ずチェックしましょう。
最上階に住むなら、合理性よりステータスという思い切り
分譲マンションを購入するときに選ぶべき階数は、世帯の状況やライフスタイル、ライフステージによって異なります。小さな子供がいる世帯なら、下層階から中層階のほうが移動しやすく便利かもしれませんし、高齢の夫婦二人暮らしなら災害時にすぐに避難できる下層階が望ましいかもしれません。
一方、最上階には、高層階の中でもワンランク上のステータスと開放感、希少性のある仕様・間取りといった、「最上階にしかない特別感」があります。マンションの最上階に住むなら、多少の機能性の低さやリスクには目をつぶり、「価格に対する合理性よりも優越感やステータスを重視する」という思い切りが必要でしょう。
最上階に限らず、マンション選びの最終的な判断基準は、「価格や環境を含めて、自分と家族が納得できるかどうか」です。将来的な資産価値も踏まえてじっくり検討し、後悔のない選択をしてください。
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※実際の流通価格を保証するものではありません。予めご了承ください。
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