建築費や人件費の高騰を背景に新築マンション価格の高止まりが続く今、「現状では手が出せない」と購入をあきらめている方も多いでしょう。実際、都内の新築マンションの平均価格は、2DK・2LDKで、ゆうに5,000万円を超え、一般的なサラリーマンが気軽に購入できる金額ではなくなりました。こうした状況を受けて、注目を集めているのが中古マンションです。
今回は、中古マンションを中心に物件を探している方、興味がある方に向けて、中古マンションの選び方や、購入する前に知っておきたいメリット・デメリットを解説します。
失敗しない中古マンションの選び方
- マンションバリューマガジン編集部
- 株式会社マーキュリー
- 中古マンションに注目が集まる理由
- 中古マンションのメリット
- 1 新築に比べると価格が安い
- 2 現物を見てから購入できる
- 3 選択肢が多い
- 中古マンションのデメリット
- 1 経年劣化があり、修繕積立金がかさむ
- 2 仲介手数料がかかる
- 3 コミュニティがすでに形成されている
- 中古マンションのデメリットは少ない
- 中古マンションの選び方
- 1 優先度を考える
- 2 返済負担率から物件購入の予算を考える
- 3 価格はリフォーム費用や維持費込みで考える
- 4 プロの手を借りるのも有効
- 5 物件を客観的にレーティングするサイトをチェック
- 6 建築年によるマンションの傾向を押さえておく
- プロの視点も取り入れて、間違いのない中古マンション購入を!
中古マンションに注目が集まる理由
新築マンションより中古マンションに注目が集まっている理由には、単純に「価格が新築マンションより安い」ことのほか、物件そのものの作りが優れているということがあります。
特に、リーマンショックが起こる前の2000~2007年くらいまでは、安く購入した土地に十分な建築費と人件費をかけて作られた物件が多く、建物そのものや内部設備のグレードが高い傾向があります。中でも、信頼できるデベロッパーが建てた物件は、近年の新築より丁寧に作られていることが少なくありません。
中古マンションのメリット
中古マンションのメリットについて、具体的に見ていきましょう。
1 新築に比べると価格が安い
同じくらいの広さと立地であっても、一度、人が住んでいる中古マンションは、新築に比べて価格が下がります。新築マンションにはどうしても手が届かないという場合は、中古マンションを中心に探してみるといいでしょう。
ただし、中には、新築分譲時からほとんど値段が変わらない、または中古の売り出し価格のほうが高い物件もあります。
それは、土地を安く仕入れることができたり、定期借地権がついていたりといった理由があり、新築時に近隣の物件よりも、かなり割安な価格で販売されていたからです。エリアの再開発や最寄駅の路線拡充によって、後から地価が上昇して価格が上がることもあります。
また、年数が経つことでむしろ価値が上がる、いわゆるヴィンテージマンションと呼ばれる物件もあります。個性的なデザインの物件や、今からでは決して手に入らない希少な土地に建てられた物件は、唯一無二のマンションとして高い資産価値を維持しており、中古の売り出し価格も高くなっています。
2 現物を見てから購入できる
新築マンションは建築中に購入することが多く、モデルルームやデベロッパーの提供する情報でしか判断できません。その点、購入前に現物を見て検討することができるのは、中古マンションにしかないメリットでしょう。
新築マンションを見るときにもよくいわれることですが、できれば昼と夜、別々の時間帯に訪れて、住んでいる方や周辺の雰囲気、治安などを確認することをおすすめします。
3 選択肢が多い
中古マンションは新築に比べて物件数が多く、今からでは土地に空きがなく、マンションを建てられないエリアにも存在しているため、選択肢が豊富にあります。
どうしても住みたいエリア、憧れのエリアなどがある場合は、中古マンションを視野に入れて探すといいでしょう。
中古マンションのデメリット
良いことばかりのように思えますが、中古マンションにもデメリットは存在しています。中古マンションの購入を決める前に、デメリットについても考えておきましょう。
1 経年劣化があり、修繕積立金がかさむ
中古マンションは、建てられてから時間が経過しているので、当然ながら経年劣化している可能性があります。マンション共用部の劣化部分は修繕積立金を使って修繕されますが、その分、新築より修繕積立金がかさむ可能性があるほか、自宅内部は自分たちで修繕を行わなくてはなりません。
2 仲介手数料がかかる
新築マンションはデベロッパーや販売代理店から購入しますが、中古マンションは売主の依頼を受けた仲介会社から購入するため、仲介手数料がかかります。小さな金額ではありませんが、仲介手数料の計算方法は宅地建物取引法で決められており、上限となる金額以上にかかることはありません。
仲介手数料は以下のように、対象となる売買価格を分解して考えます。
<仲介手数料の上限>
購入金額のうち200万円以下の部分:価格の5%以内(消費税別)
購入金額のうち200万円を超え400万円以下の部分:価格の4%以内(消費税別)
購入金額のうち400万円を超える部分:価格の3%以内(消費税別)
なお、購入金額が400万円を超える場合は、下記の式で仲介手数料の上限を計算することができます。
仲介手数料=購入価格×3%+60,000円(消費税別)
3 コミュニティがすでに形成されている
中古マンションでは、新築のときに同時に入居した方たちでコミュニティが形成されていることがほとんどです。すでに出来上がっているグループに入っていくのが苦手な方や、住んでいる部屋のグレードの違いが気になってしまう方などは、慣れるまで時間がかかるかもしれません。
中古マンションのデメリットは少ない
日本では、新築や新車など、「誰も手をつけていない新しい物」に価値を感じる傾向があります。確かに、完成図や模型を見ながら出来上がりを待ち、ベールを脱ぐ瞬間を見守る喜びは、新築マンションにしかないものだといえるでしょう。一切の家具が置かれていない、まっさらの状態を見ることができるのも、新築ならではの良さです。
反対に、「新しさ」にさえこだわらなければ、グレードの面からも価格の面からも、中古マンションにはデメリットを上回るメリットがあるのではないでしょうか。選び方さえ間違えなければ、新築マンションが高騰している時代に、中古マンションに注目するのは正しい選択といえるでしょう。
中古マンションの選び方
いざ、中古マンションを購入することになったら、どんなことに気を付けて物件を見ればいいのでしょうか。中古マンションの選び方のコツや、見るべきポイントをご紹介します。
1 優先度を考える
まずは、マンションに求める条件に優先順位をつけることが大切です。終の棲家として購入する場合は、自分と家族にとっての住みやすさ、暮らしやすさを考えて、絶対に譲れない条件を決めましょう。
一方、将来的には売却して住み替える可能性がある場合は、「自分にとっての住みやすさ」よりも「万人受け」を考えて、条件を絞り込む必要があります。駅から近いこと、間取りが一般的であることなど、購買層が厚いところを狙いましょう。
2 返済負担率から物件購入の予算を考える
収入のうち、ローン返済がどれくらいの割合を占めるのが最適かを示す返済負担率は、25%以下を目安として推奨しているところが多いです。物件の購入価格は、自動車ローンなども考慮して、返済負担率が年収の25%以下になることを目安に考えるようにしましょう。
しかし、市場価格が全体的に上昇している今、住宅ローンだけで収入の25%が返済に回るのは、少し苦しいかもしれません。住宅金融公庫が行った、2018年度のフラット35利用者を対象とした調査によると、中古マンションの融資利用者の返済負担率の平均は、19.8%でした。フラット35の借入可能額は、年収400万円未満で返済負担率30%以下が基準となっています。多くの方が、返済負担率をかなり抑えているということがわかります。
25%以下の返済負担率は、自動車ローンや教育ローンなど、ほかのローンと合算で考えなければならないこともポイントです。
すべてのローンを合算して返済負担率が25%以下になるか、また、それが無理なく返済できる金額なのか、よく考えて物件の購入価格を決めましょう。
3 価格はリフォーム費用や維持費込みで考える
中古マンションは、新築マンションと違って間取りを選ぶことができません。そのため、自分好みの間取りにするなら、リフォームをすることになります。また、トイレや台所など、気になるところがある場合もリフォームが必要です。
中古マンションを購入するときは、単純な物件価格だけで支払いの計算をするのではなく、リフォーム費用や将来の修繕といった維持費込みで考えることが大切です。
4 プロの手を借りるのも有効
現物が確認できるという、中古マンションならではの利点は最大限に活用すべきです。内覧の際は、外観を一通り確認した後、室内の仕様や作りをチェックしましょう。
本来なら水回りの状況や修繕が必要な個所などもリストアップしたいところですが、素人ではなかなか難しいのが現実です。現在のオーナーの前では、細かいところまで確認しにくい部分もあるでしょう。配管や建付け、浴槽や壁などの隙間を埋めるコーキング、壁や床の状態などは、素人では判断しにくいですが、物件の良し悪しが明確に出る部分です。住宅診断士などプロに頼るのもひとつの手でしょう。
5 物件を客観的にレーティングするサイトをチェック
マンションを格付けしているサイトも活用しましょう。特に、将来的な売却を視野に入れている場合は、購入時より高い価格で売れる物件の特徴や、自分が購入を検討しているエリアの相場観を押さえておくことが大切です。
マンションバリューでは、マンションの価値を定量的・客観的に評価し、物件をレーティングしています。中古マンションの価値が知りたいときは、積極的に活用してみてください。
6 建築年によるマンションの傾向を押さえておく
リーマンショックが起きる前の、2000~2007年に建てられたマンションは、土地を安く仕入れ、手をかけて建てた良質な物件が集中しています。建築年からある程度は物件のグレードを推測できるので、必ずチェックしてから現物を見に行きましょう。
なお、こうした傾向は、在庫件数が増加し、財閥系の大手デベロッパー以外はマンションを建築するのが難しかった、2011~2013年のあいだに建てられた物件にも共通しています。
プロの視点も取り入れて、間違いのない中古マンション購入を!
新築マンションの高騰が続く今、「買うべき物件」を見極める目さえあれば、中古マンションの購入にデメリットはほぼありません。真新しさにこだわらないのなら、積極的に中古マンションを検討すべきだといえるでしょう。
重要なのは、選び方を間違えないこと。プロならではの視点でマンションの価値を評価するサイトや、不動産鑑定士などの意見も取り入れながら、目的に合った中古マンションを選んでください。
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※実際の流通価格を保証するものではありません。予めご了承ください。
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