購入するマンションを選ぶ際、価格や住環境、間取り、共用施設の充実度などに加えて、重視したいのが「規模感」です。
近年、タワーマンションなどの大規模マンションは、わかりやすい付加価値が多いこともあって、人気が続いています。しかし、ライフスタイルによっては、小規模マンションのほうがマッチしていることもあるでしょう。今回は小規模マンションについて、大規模マンションと比較しながら解説します。
小規模マンションって何?大規模マンションと迷ったときの選び方
- マンションバリューマガジン編集部
- 株式会社マーキュリー
大規模マンションと小規模マンションの違い
マンションの「大規模」「小規模」は、総戸数や高層・低層の違いによる規模感に基づいて分類されているもので、明確な定義はありません。一般的には、総戸数50戸以下の低層マンションを「小規模マンション」とし、100戸以上の高層マンションを「大規模マンション」、その中間を「中規模マンション」と呼ぶことが多いようです。
タワーマンションをはじめとする大規模マンションは、再開発地域など「次に何ができるのか」という期待感が高い土地に建つことが多いです。優れた利便性や、スケールメリットを活かした豪華な共用施設などが特徴です。首都圏には総戸数が1,000戸を超える「超」大規模マンションや、1つのエリアに複数の棟を建てて、小さな街のように構成した総戸数2,000戸以上のマンションもあります。
一方で、供給過剰も危惧されており、中でも東京オリンピック・パラリンピック開催に伴って多くの大規模マンションが建設された、湾岸エリアとその周辺の動向には注目が集まっています。
一見すると大規模マンションばかりがもてはやされているようですが、実際は小規模マンションも地道にその数を増やしています。小規模マンションの特徴は、駅や商店街の近く、または住宅街の一角など、比較的小さな敷地を活用して建てられていることです。昔からの地主が土地の一部を手放してマンションを建て、自宅をその一室に移したり、土地の一角にコンパクトな一戸建てを建てたりするケースも多く見られます。
小規模でも単身者用とは限らず、ワンフロアあたりの住戸数を減らして、1戸あたりのスペースを広くとったファミリータイプもあります。
小規模マンションのメリット・デメリット
マンションを購入する際は、さまざまなことを比較・検討して選ぶことが大切です。まずは、小規模なマンションのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
<小規模マンションのメリット>
・共用スペースが少ないので、静かに暮らせる
小規模マンションの場合、フィットネスルームやプール、キッズルーム、ゲストルームといった豪華な共用施設はほとんどなく、共用施設はエントランス周辺の来客スペースなどに限られます。そのため、住民が必要以上に集まることがありません。マンションの付帯施設を利用する機会が少なく、共用スペースに多くを求めない人にとっては、小規模マンションは静かに落ち着いて暮らせるというメリットがあるでしょう。
・角住戸に住める確率が高い
ファミリータイプの小規模マンションは、ワンフロアあたりの住戸数が少ないので、角住戸率も高め。窓が多く、共用廊下にも隣の住戸にも接しない部屋ができて、独立性が高いといった角住戸のメリットを享受しやすいといえます。
・立地条件に恵まれていることが多い
小規模マンションは、比較的狭い敷地にも建てられるため、駅に近い住宅街の一角や、景観に配慮して建物の高さ制限がある第一種・第二種低層住居専用地域などに建てられることが多いです。利便性や立地条件、周辺環境という観点では、大規模マンションに十分匹敵するでしょう。
・住民同士の格差が少ない
総戸数が少なく、低層であることが多い小規模マンションは、階層や住戸の位置による価格の違いがそれほど大きくありません。上層階と低層階で格差を感じることも少なく、フラットな付き合いをすることができます。
マンションバリューを活用して過去に販売された間取りと金額をチェックし、自分の支払い能力に合った物件を選ぶようにすると、より経済的なレベルや価値観が似たコミュニティーを探しやすくなるでしょう。
・住民の顔を把握しやすい
100人の企業より50人の企業のほうが、社員一人ひとりの顔と名前が一致しやすいのと同じで、小規模マンションは「住民全員の顔と名前がなんとなくわかる」という安心感があります。大人たちがマンションに住む子供たちを下の名前で呼び、みんなで見守るというような、昔ながらの近所付き合いが生まれやすい環境です。
マンションのセキュリティだけでなく、住民同士の気配りで安全を守れるというのは大きなメリットでしょう。
<小規模マンションのデメリット>
・流動性が低い
小規模マンションは、そのエリアにできるだけ住み続けたいと考えている、地元の人の住み替え先として検討されることが多い物件です。そのため、一度入居した後は長く住み続ける人が多く、流動性は低い傾向があります。
市場に流通しにくく、指名買いしにくいという点は、中古で購入を検討している人にとってデメリットになるでしょう。
・物件の良し悪しが出やすい
小規模マンションは、物件の流動性に物件の良し悪しが反映されやすくなります。
小規模マンションを購入する人は、物件そのものの住み心地が、現在の自分たちの今の暮らしにマッチしているかどうかを購入の判断基準にしていることが多い傾向があります。急な転勤など、やむをえない事情がある場合を除いて、購入から短期間で売却を決める人が多いマンションには、何らかの暮らしにくさ、住み心地の悪さがあると考えられます。
・付帯設備やサービスがほとんどない
小規模マンションは、当然ながらスケールメリットがありません。付帯設備を充実させれば一戸あたりの負担が増えるため、共用スペースはシンプルで、必要最小限の設備にしぼられます。コンシェルジュサービスが利用できたり、24時間管理人や警備員が常駐していたりといった、「あれば便利」なサービスは少ないと考えたほうがいいでしょう。
・大規模修繕が計画どおり進めにくい
少ない戸数でマンションの質を担保していかなければならない小規模マンションでは、大規模マンションに比べ、1戸の修繕費の滞納が、全体に与えるインパクトが大きくなります。
1戸でも滞納が出ると、全体の修繕計画の妨げとなり、思うように計画が進まないという事態も考えられます。
大規模マンションのメリット・デメリット
タワーマンションをはじめ、高い人気を維持している大規模マンションにも、下記のようなメリット・デメリットがあります。
<大規模マンションのメリット>
・充実した共用設備がある
大規模マンションには、ゲストルームやスポーツジムといった、スケールメリットを活かしたさまざまな共用設備があり、マンションの暮らしを豊かにしてくれます。中には、敷地内に保育園やクリニック、カフェ、スーパー、シェアオフィスなどがあり、そこだけで生活を完結させられるようなマンションもあるようです。
・立地条件が良く資産価値が落ちにくい
大規模マンションは、再開発された街の駅近で、交通の便が良い場所に建てられていることが多いです。住み替えで売却する際にも、資産価値が落ちにくいでしょう。
・間取りや階数など選択肢が多い
大規模なマンションほど、間取りのタイプや階数、価格などに幅があり、さまざまな選択肢から住まいを選ぶことができます。
・自分に合ったコミュニティーに属すことができる
住んでいる人が多い分だけ、生まれるコミュニティーの数も多いのが大規模マンションです。最初に属したコミュニティーが自分に合っていなかったとしても、別のコミュニティーで居場所を見つけられる可能性があり、住民同士の関係性によって住みにくくなることは少ないといえます。
<大規模マンションのデメリット>
・マンション内で格差を感じやすい
大規模マンションの1階と最上階では、価格に大きな開きがあります。同じマンションに住んでいても、最上階に住む人と低層階に住む人のあいだには経済的な格差があるといわざるをえません。他人の目が気になる人にとっては、住みにくいと感じる場面があるかもしれません。
・多様な価値観の人がいる
住んでいる人が多いということは、価値観が一致しにくいということでもあります。住人が多い分だけ、大規模修繕の計画や総会など、住民の意志を統一する必要がある場面でなかなか意見がまとまらなかったり、非常識な行動をしたりする人がいます。
・避難しにくい
地震で停電が発生するなどしてエレベーターが使えない場合、上層階でも階段で避難せざるをえません。災害が起きた場合、大規模マンションでは避難に時間がかかること、避難しにくいことを想定して、普段から準備しておく必要があるでしょう。
大規模マンションと小規模マンションで迷ったら
大規模マンションと小規模マンションには、それぞれメリットとデメリットがあり、一概に「どちらが良い」とはいえません。どちらにすべきかは、購入する人の価値観とライフスタイルによって異なります。
例えば、静かな環境で暮らしたい、住民同士の顔が見える安心感が欲しいといった場合なら、小規模マンションが向いているといえます。一方、便利さやステータス、眺望の良さなどを重視してマンション購入を検討している人であれば、大規模マンションのほうが適しているといえるでしょう。
マンションの規模感で迷ったら、「マンションに何を求めているのか」と、「今のライフスタイルに必要なものは何か」を考えることから始めましょう。メリット・デメリットにとらわれず、自分のニーズを把握して適したマンションを選ぶことができれば、生き方や考え方にフィットした居心地の良い住まいを手に入れることができるはずです。
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