何らかの理由で住み替えを検討する場合、それまで住んでいたマンションをどうするかが悩みどころです。一般的に多くの人が「売る」選択をしますが、実は「貸す」ほうがライフスタイルに適している場合も少なくありません。
ここでは、所有している不動産を売るべきか、貸すべきかで迷っている人に向けて、自分に合った選択肢の見つけ方を解説します。
マンションの住み替えは「売る」と「貸す」どちらを選ぶべき?
- マンションバリューマガジン編集部
- 株式会社マーキュリー
売る・貸すの決め手は、マンションとの付き合い方
仕事や家庭の事情などで、購入したマンションに住み続けないという選択をした場合、次に住む所を探すのと同時に、現在のマンションをどうするか考えなくてはなりません。「転勤して戻ってくるまでそのままにしておきたい」といったケースを除いて、ほとんどの人は「空き家にしておくのはもったいないので、有効に活用したい」と思うのではないでしょうか。
こうした場合、資産活用の選択肢として挙げられるのが、「売る」または「貸す」という方法です。一般的には、売ることに関しての情報量が多く、すぐにキャッシュが入って、次の住まいの購入資金として充当できるというイメージがあるでしょう。そのため、貸すという選択肢は後回しになるか、最初から除外されてしまいがちです。今あるマンションを売ることを前提に次の住まいについて考え、売るタイミングを見極めるという人がほとんどでしょう。
入居者がいなかった場合の二重ローンのリスクや、新しい住まいと合わせて2つのマンションの所有者になることに対する不安から、貸すことに踏み切れないという人も少なくありません。しかし、所有する不動産の扱いを決めるときは、「持っていたいなら貸す」「いらなければ売る」「短期的な売却益を望むなら売る」「老後のために資産運用したいなら貸す」というように、目的によってとるべき手段は違います。不動産との付き合い方を見直した上で、それぞれの選択肢についてしっかり検討することが重要です。
まずは、なぜ不動産を所有しているのかという原点に立ち返って、自分にとってベストな方法を考えることから始めましょう。
マンションを売るか貸すか?それぞれのメリットと注意点
マンションを売るか、貸すかを決めるにあたって、知っておきたいのがそれぞれのメリットや注意点です。一度、マンションを売る場合と貸す場合を、整理して考えてみましょう。
マンションを売る際のメリットと注意点
所有しているマンションを売る最大のメリットは、まとまった額の売却益がすぐに手に入ることです。「現在の住まいはもう不要」という場合は、売却益を次の住まいの元手にしたり、ローンの残債と相殺したりすることで、「今」を楽にすることができます。
新しい住まいのローンだけを払えば良く、管理するのも新しい住まいだけなので、精神的な負担もないでしょう。
売る場合の注意点は、長期的な資産形成が望めないことです。当然ながら、不動産は売ってしまえば他人のもので、自分が所有する資産ではなくなります。売る場合のキャッシュポイントはあくまでも「今」であり、将来の保障につながるものではないということを、しっかり理解しておく必要があるでしょう。
マンションを貸す際のメリットと注意点
所有しているマンションを貸すことのメリットは、老後への投資になるという点です。売る場合と違ってすぐにキャッシュが手に入るわけではありませんが、賃貸に出しているあいだは借主が支払う家賃を、ローン返済にあてることができ、持ち出しなく将来の資産形成をすることができるのです。また、まとまったお金が必要になったタイミングで売ることができるのも、マンションを貸すメリットのひとつでしょう。
マンションを貸すときに重要なのは、「家賃収入で儲ける」のではなく、「長期的な資産形成をする」という考え方に基づくことです。マンションを貸すにも、さまざまな費用や手間がかかり、大きく儲けるのは難しいのが現実です。
なお、マンションを貸すにあたって知っておくべき注意点は、次の5つです。
・クリーニング費用がかかる
居住していたマンションを賃貸に出す際は、一度きれいに室内をクリーニングしなくてはなりません。入居者が入れ替わるタイミングで、毎回クリーニング費用が発生します。こういったクリーニング費用は、貸主が支払う費用となります。
・固定資産税の支払いがある
土地や建物を所有している場合、その所有者は固定資産税を納める義務があります。不動産を賃貸に出した場合は、賃借人ではなく所有者が土地と建物に対してかかる固定資産税を払い続けなくてはなりません。なお、固定資産税は、以下の計算式で算出されます。
固定資産税=固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%(標準税率)
固定資産税は、条件を満たすと軽減の特例が適用されることがあります。また、市町村によって、税率が異なる場合もあります。
・管理費と修繕積立金の支払いがある
マンションは賃貸に出していても、修繕積立金や管理費の支払い義務は所有者にあります。一般的には修繕積立金や管理費を含めて賃料を設定しますが、支払いに備えて口座にまとまったお金を用意しておく必要があるでしょう。
・修繕費用がかかる
マンションを貸し出すとき、壊れていたり不具合が生じていたりする設備については、オーナーがあらかじめ取り替えておかなくてはなりません。義務ではありませんが、設備の壊れたままの部屋には、借り手がつかない可能性が高くなります。
また、最初から付帯していた設備が貸し出してから故障した場合も、オーナーの負担となります。設備が充実していると借り手がつきやすい半面、コストがかかるということは認識しておく必要があります。
・区分所有者として管理組合の組合員であり続ける
たとえ、賃貸に出して入居者がいても、借り手が現れずに空室だったとしても、オーナーは当該マンションの区分所有者であり続けます。したがって、管理組合の理事や理事長になる可能性や、総会へ出席しなければならない可能性もありますので、注意が必要です。
マンションを売る手順
では、マンションを売ることに決めた場合は、どのようにしたら良いのでしょうか。マンションを売る手順をご紹介します。
1. 相場を調べる
マンションを売る際は、不動産ポータルサイトなどで一括査定を依頼したり、物件情報サイトで似たような物件の売り出し価格をチェックしたりして、相場を調べます。
マンションバリューでは、マンションが現時点で売りに出されているかどうかにかかわらず、新築時の価格と中古で売り出されたときの価格、およびその価格差を比較した騰落率などをチェックできます。最寄駅からの距離のほか、広さや築年数などで絞り込んで比較・検討することもできますので、より現実に沿った価格がわかります。
2. 不動産会社と契約する
不動産会社に売却の仲介を依頼し、契約を結びます。
3. 売り出し価格を決めて、売り出す
不動産会社に相談しつつ、相場と希望売却額を踏まえて売り出し価格を決定し、売却活動に入ります。
4. 売買契約を締結する
購入希望者が現れたら、必要に応じて内見などを行い、価格やその他の条件の交渉をします。条件が折り合えば、売買契約の締結に進みます。
5. 物件を引き渡す
売却が決まった不動産を引き渡します。設備や備品などの細かい部分まで、買い主立ち合いのもとで確認しておくことがトラブル防止の秘訣です。
マンションを貸す手順
続いて、マンションを貸すことに決めた場合の手順についても、ご紹介しましょう。
1. 相場を調べる
マンションを貸すときも、売るときと同じように相場を調べることから始めましょう。家賃や敷金・礼金などの初期費用の設定が適切でないと、入居者が決まりにくくなります。
2. 不動産会社と契約する
信頼できる不動産会社が決まったら、入居者に求める条件、および賃貸条件を設定して共有します。
賃貸条件は、大きく次の2つに分けられます。
・普通借家契約
普通借家契約は、契約した期間が満了するごとに更新をするしくみです。契約期間は1年以上が原則ですが、2年で設定するケースが多いようです。ちなみに、入居者に不利になるのを避けるため、1年未満の契約期間は無効となり「期間の定めのない契約」とみなされます。
また、契約期間内に不動産を売りたくなったとしても、入居者が「住み続けたい」という契約更新の意思を示している限り、強制退去させることはできません。
・定期借家契約
定期借家契約は、オーナーが入居者に対して契約期間を明示でき、入居者が住み続けたいという意思を示したとしても、一定の期間で契約を終了することができるしくみです。一時的な転勤や、一定期間後の売却が決まっていて、それまで賃貸に出したいという場合などに有効です。ただし、普通借家契約よりも家賃設定は安くなる傾向があります。
3. 部屋をリフォームする
賃貸に出す前に、室内をきれいにリフォームしたりクリーニングしたりして、マンションの商品価値を向上させます。どんな設備をつけるかも合わせて検討し、故障があれば直しておきましょう。
4. 入居者の募集・審査を行う
仲介会社を通して情報を公開し、入居者の募集と希望者の審査を行います。募集の進捗状況は不動産会社から随時報告がありますが、審査は最初に決めた条件に沿って不動産会社が行います。オーナーが実際に入居者を審査することはほとんどないでしょう。
5. 賃貸契約を締結し、引き渡す
不動産会社を介して入居者と賃貸契約を結び、物件を引き渡します。
6. 管理を行う
付帯設備の故障や管理費・修繕積立金の支払いなどに対応するほか、入居者が入れ替わるタイミングで室内設備の修理やハウスクリーニングを行います。
売る・貸すの決め手は、所有の目的とキャッシュポイント
マンションを売るか貸すかの決め手は、「所有の目的」と「キャッシュポイントをどこに持ってきたいか」です。すぐにキャッシュが必要なら売る、長期的に資産形成したいなら貸すというように、ライフスタイルに合わせて選びましょう。
どちらにしても、不動産との付き合い方をじっくり考えてから選ぶことが大切です。
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