マンションの利回りとは?実質利回りと表面利回りを考える

2020年04月29日

マンションを購入して賃貸に出すと、借主から賃料を得ることができます。これが、「不動産投資」や「マンション投資」と呼ばれるものです。特に、中古の投資用マンションでは、「利回り」を表示した状態で販売されていることも珍しくありません。
通常、利回りとは元金に対する利益率を指しますが、マンションの場合は、表示されている利回りをそのまま信用してしまうのは危険です。利回りの考え方を身に付けた上で、投資を行いましょう。

マンションの利回りとは?

マンションの利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。こ2つの違いを知らなければ、マンション投資でどのくらい利益を出せるのか、予測することができません。それぞれの意味と計算方法について見ていきましょう。

表面利回り

表面利回りは、年間の賃料と物件の価格を比較して算出するものです。計算式は、下記のようになります。

表面利回り=賃料×12ヵ月÷物件価格


賃料が12万円の投資用マンションを3,000万円で購入した場合の、表面利回りを計算してみましょう。 計算式は「12万円×12÷3,000万円=0.048」となるため、表面利回りは4.8%です。

中古の投資用マンションなどを販売する際に、「想定利回り」などとして表示されている割合は、この表面利回りを指しています。

実質利回り

実質利回りとは、物件の価格だけでなく、マンション経営に必要なさまざまな経費をすべて計算した上で、年間の賃料から得られる利益率を計算するものです。
計算式は下記のようになります。

実質利回り=(賃料×12ヵ月-マンション経営にかかるコスト)÷(物件価格+諸経費)


マンション経営にかかるコストとは、不動産仲介会社への手数料や修繕積立金、管理費、固定資産税などです。また、諸経費は、物件を購入した際にかかる税金や仲介手数料などが該当します。

賃料が12万円の投資用マンションを3,000万円で購入し、毎月の管理費と修繕積立金が合計で20,000円、仲介手数料と固定資産税がそれぞれ年間10万円かかり、購入時の諸経費が100万円だった場合の実質利回りを計算してみましょう。

{12万円×12ヵ月-(20,000円×12ヵ月+10万円+10万円)}÷(3,000万円+100万円)=約0.0323

つまり、この物件の実質利回りは3.23%ということになります。

マンション経営とキャッシュフロー

マンションを経営するためには、さまざまな費用が必要になります。実質利回りを計算するときは、どのような費用がかかるのかについて、あらかじめ知っておく必要があるでしょう。
マンションを経営するためにかかる費用には、次のようなものがあります。

・管理費と修繕積立金

管理費や修繕積立金は、借主ではなく、マンションを所有している人が支払うものです。

・固定資産税と都市計画税

固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点で物件を所有している人に課税される税金です。

・仲介手数料

新しく入居者がついた場合、仲介会社に対して仲介手数料を支払います。

・管理委託費

トラブル対応や家賃の回収などを管理会社に委託している場合、管理委託費がかかります。

・その他の費用

エアコンの故障や給排水トラブルなど、借主に原因のないトラブルについては、貸主の費用負担で修理しなければなりません。また、大規模修繕時に費用が足りなければ、別途一時金を拠出することになります。

さらに、住宅ローンを組んで物件を購入する場合は、物件購入費用のほかに利子も発生します。月々の住宅ローン返済額と、マンション経営にかかるコストが賃料を上回っている場合は、毎月差額が持ち出しになるということです。

重要なのは実質利回り

投資用マンションを購入する際、物件の広告に記載されている利回りは、ほとんどの場合が表面利回りです。「利回り」とだけ書かれている物件については、実質利回りがどのくらいになるのか、計算をし直す必要があるでしょう。表面利回りはあくまでも賃料と物件価格を比べただけのもので、実際に投資した際の利回りに近い数値は実質利回りです。

表面利回りがどれだけ良かったとしても、実際にマンション経営をしたときに利益が出なければ、投資をする意味がありません。マンション投資を考えるときは、必ず実質利回りを意識しましょう。

修繕積立金や管理費の上昇を考慮する

さらに綿密に試算したい人は、一定期間経過後の収支がどのようになっているのか計算してみてください。特に、住宅ローンを組んで物件を購入している場合は、住宅ローンの返済が終わった時点での収支を意識することで、最終的にどの程度メリットのある物件なのか、判断しやすくなります。

マンションは、築年数の経過で修繕積立金や管理費が上昇していきます。購入時点での修繕積立金と管理費が、5年後、10年後、15年後もそのままということはまずないでしょう。そのため、新築で購入したときの経営コストが、永遠に続くと考えるのは危険です。

また、エアコンや24時間換気システム、換気扇といった室内設備の耐用年数は、10~15年程度が一般的です。定期的に修理やメンテナンスをする費用は、修繕積立金から拠出されます。このような、さまざまな事態を想定した上で、最終的にどの程度利益が出るのか、あるいは出ないのかを考えてみてください。長期的な視点を持つことが、不動産投資を成功させるためのポイントです。

ただし、収支だけに目を向けるのも考えものです。たとえ住宅ローンを返済し終わった時点での収支がさほどプラスになっていなかったとしても、マンションという資産を手に入れることができます。長期的な収支を考えるときは、マンション自体の資産価値についても考慮しましょう。

中古物件と新築物件の利回り

ここで、中古マンションと新築マンションの利回りについて考えてみましょう。例えば、以下のようなマンションがあるとします。

中古マンションA)
築20年、賃料10万円/月、物件価格1,200万円(諸経費込み)

新築マンションB)
新築、賃料15万円/月、物件価格3,000万円(諸経費込み)

マンション経営にかかるコストは、どちらも年間50万円と仮定します。この場合の実質利回りは、それぞれ次のようになります。

中古マンションA)
(10万円×12ヵ月-50万円)÷1,200万円=約0.058

新築マンションB)
(15万円×12ヵ月-50万円)÷3,000万円=約0.043

中古マンションは、新築マンションに比べて一般的に物件価格が低く、リーズナブルであるという特徴があります。その分、賃料が多少安かったとしても、高い利回りが期待できます。
だからといって、中古マンションのほうが優れているかというと、必ずしもそうとは限りません。

ここでは、どちらもマンション経営にかかるコストを同一で計算していますが、築年数が経過しているマンションは、それだけ修繕積立金や管理費の額が上がっている可能性が高くなります。さらに、室内の設備にトラブルが起こる可能性も高くなり、物件価格を抑えたにもかかわらず、結局、修理に多額の費用がかかってしまうことにもなりかねません。
また、新築か中古かは、入居率にも関わってきます。築年数が新しい物件は設備が充実している場合が多く、高い賃料が見込める上に、入居者も決まりやすくなります。

長期的に収益を見込めるマンションかどうかは、それぞれのマンション自体の特徴によって大きく左右されます。そのため、一概に「新築マンションがいい」「中古マンションがいい」とはいいきれません。中古マンションを選ぶ場合は、利回りだけを見るのではなく、長期的なコストや将来の建替えリスクなどについても併せて検討する必要があるでしょう。

結局利回りが何%あれば投資は成功するのか?

これから投資用マンションを購入して投資を始めようという方にとって、「結局のところ、利回りが何%あればマンション経営を成功させられるのか」というのは、気になるポイントでしょう。
不動産に対し、投資家がどれくらいの利益を期待しているのかを表す「期待利回り」という言葉があります。期待利回りが高ければ、投資家が注目している物件・地域ということになるでしょう。ここでは、実際の賃貸住宅について、期待利回りがどのくらいなのかをご紹介します。

日本不動産研究所が行った「不動産投資家調査」(2018年10月現在)によると、「賃貸住宅一棟(ワンルームタイプ)の期待利回り」は、東京都の城南地区で4.4%、城東地区で4.5%となっています。
また、東京以外のおもな政令指定都市の期待利回りは下記のとおりです。

<おもな政令指定都市の期待利回り>

札幌    5.5%
仙台    5.5%
横浜    5.0%
名古屋   5.1%
京都    5.2%
大阪    4.9%
神戸    5.2%
広島    5.8%
福岡    5.2%

東京、大阪の二大都市は5.0%未満であるのに対し、そのほかの都市では5.0%以上となっています。また、最も期待利回りが高いのは広島で、5.8%でした。

ただし、「利回りが高い=多くの収益が上がる」とは限りません。利回りの計算は、基本的に「1年間入居者が入り続けた場合」を想定しています。実際にマンションを購入した後、常に入居者がいるとは限らないでしょう。
賃貸情報をチェックしてみると、日本中にたくさんの物件があることがわかります。これらはすべて「空室」であり、「入居者を募集している物件」です。つまり、これらの物件のオーナーは、現時点では賃料収入を得られていないということになります。

利回りより重要な入居率

マンション投資をするときの一番大きなリスクは、「入居者がつかない」ということです。いくら利回りが高くても、低コストで買うことができたとしても、入居者がいなければ収入はゼロであり、利回りどころか、コストがかかる一方ということになってしまいます。

期待利回りについても同様で、地方都市のほうが物件価格は低く、運用コストも抑えられる可能性がある反面、入居者は人が多い都心部のほうが決まりやすい可能性が高いでしょう。「利回りが何%なら安心なのか」という考え方を持つのは、賃貸マンション投資においてはあまり意味がないことなのです。

かかるコストと賃料のバランスを考え、利回りを意識するのは大切なことですが、それだけに振り回されると、より重要な入居率を見落としてしまうおそれがあります。賃貸マンション投資を検討する際は、高い入居率が見込める物件かどうかを吟味するようにしてください。

表面利回りだけを見てマンション投資をするのは危険

中古マンションの中には、表面利回りが10%近いものもあります。非常に優れた投資物件であるように見えますが、実際には、物件価格以外のコストやランニングコストについても考慮する必要があるため、毎年必ず10%の利益を得られるというわけではありません。
また、入居者がいなければ利回りはマイナスになってしまいます。マンション投資は高額なコストがかかるものですから、実際に運用した場合をシミュレーションして、慎重に検討することをおすすめします。