マンション管理適正化法とは?管理方法が変わるかもしれない法改正

2020年10月02日

マンション管理は、マンションの価値を左右することもある非常に重要な問題です。時が経つにつれて徐々に老朽化していくマンションをどのように維持、管理していくのか、マンションを持っている人や、これから買おうと考えている人は、意識しておく必要があるでしょう。
ここでは、マンション管理に関する法律の改正について、わかりやすくご説明します。

マンション管理適正化法・マンション建替え円滑化法とは?

マンションの管理や、老朽化したマンションの建替えに関する法律に、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(略称:マンション管理適正化法)」や「マンションの建替え等の円滑化に関する法律(略称:マンション建替え円滑化法)」があります。 マンション管理適正化法は、適切なマンション管理を推進することを目的として、国土交通省の管轄のもと制定されており、管理業者の登録義務などについて定めています。 一方、マンション建替え円滑化法は、マンションの建替えをできる限りスムーズに進めるために定められた法律です。

どちらの法律も、施行後に度々改正が行われ、より時代に即した内容にアップデートされてきました。そして、2020年も法律の一部が改正されることが決まりました。
マンション管理適正化法もマンション建替え円滑化法も、「一部を除き、公布の日から2年を超えない範囲で施行する」とされています。公布日は2020年6月24日ですので、2022年6月までには施行されると考えていいでしょう。

マンション管理適正化法の具体的な改正内容は?

マンション管理適正化法の具体的な改正点は、おもに下記の3つが挙げられます。

国によるマンション管理を適正化する基本方針制定

今回の改正によって、国(国土交通大臣)が、マンションの管理を適正化するための基本方針を定めなければならないということが決まりました。
どのような方針になるのかはまだわかりませんが、適切な修繕計画が立てられ、修繕積立金が正しく集められているか、管理組合の活動がきちんと行われているかなどが基本方針に含まれるでしょう。
基準が示されることで、自分が保有しているマンションや、買おうとしているマンションの管理が適正かどうかをチェックしやすくなるといわれています。

地方自治体による管理組合の運営状況の助言・指導および勧告

都道府県等の地方自治体は、管理組合の管理者等に対して、マンションの管理の適正化のために必要な助言や指導を行えます。
また、万一、管理や運営が著しく不適切であると判断した場合は、勧告を行うこともできるようになります。具体的な取組事例としては、マンション管理の専門家を派遣したり、相談窓口を設置したりするなどが考えられています。

マンション管理適正化推進計画制度と管理計画認定制度の実施

地方自治体は、国が定めた基本方針にもとづいて、自治体内のマンションの管理適正化推進計画を作成できるとしています。この制度は任意ですので、管理適正化推進計画を作成するかどうかは、自治体に判断が委ねられています。
また、マンション管理適正化推進計画を作成した自治体は、マンションの管理計画が一定の基準を満たしている場合に、そのマンションの認定を行うことができるようになります。

これは、管理計画認定制度とされ、マンションの管理者等から申請された場合にチェックが行われて認定されるというものです。
認定を受けることでどのようなメリットがあるのかは、現状では不明ですが、マンション管理に対する信頼性を高めたり、一定の基準を満たしていることの確認に利用したりすることができるでしょう。また、認定を受けることで利用できる優遇措置が設けられる可能性もあります。

マンション建替え円滑化法の具体的な改正内容は?

マンション建替え円滑化法の具体的な改正内容は、おもに下記の4つが挙げられます。

要除却認定の要件緩和

要除却認定の「要除却」とは、取り除く必要があるという意味です。認定されるとマンション敷地の売却や建替えがしやすくなります。
現状の要除却認定の対象は、耐震性が不足しているマンションのみでしたが、今回の法改正によって、以下の要件を満たす耐震性ありのマンションも対象になりました。

<耐震性があるマンションで要除却認定の対象となるもの>

・外壁の剥落等によって危害が生じる可能性があるマンション
・バリアフリー化が不十分なマンション など

マンション敷地売却事業の対象拡大

マンション敷地売却事業とは、マンションの所有者たちによって構成されるマンション敷地売却組合が、マンションの敷地を一括して買受人に売却する事業のことです。
これまでは、耐震性が不足しているマンションのみが対象でしたが、耐震性がある場合でも外壁の剥落などで劣化が認められたり、バリアフリー化が不十分であったりする場合は、敷地売却決議の対象になりました。
敷地売却決議とは、マンションの敷地を他者に売却するための決議のことです。敷地共有者等(敷地利用権を保有している人)の4/5以上の賛成で、マンションの敷地の売却が可能になります。

容積率の緩和と特例の適用対象の拡大

容積率とは、敷地面積に対して建てることができる建物の延床面積の割合のこと。延床面積とは、マンションの各階の面積の合計です。階数が高いほど容積率が増える計算になります。
今回の改正によって特例の適用対象になると、建替えを行う際、容積率の緩和によって元のマンションよりも高い建物を建てられるようになります。

団地における敷地分割制度の創設

団地のように、敷地内に複数の棟で構成されるマンションでは、敷地共有者等の4/5以上が賛成した場合、敷地の一部を売却することも可能になります。
従来は必要だった所有者全体の同意が得られなくても、敷地共有者の4/5以上が賛成した建物については、敷地を分割して売却ができるようになるということです。

マンション管理適正化法とマンション建替え円滑化法がなぜ改正されるのか?

今回の2つの法改正は、今後、マンションの老朽化と管理組合の担い手不足が深刻化していくと考えられていることから行われました。
マンションの老朽化や管理不足によって起こる問題は、マンションに住んでいる人の快適性や安全性の低下だけではありません。壁の剥離による建物周辺のトラブルや景観の悪化、管理不足による治安の悪化など、周辺の住民や地域全体に影響を及ぼす問題が起こる可能性もあります。

そのため、マンションの管理を適正化するとともに、建替えをよりスムーズに行えるよう、法改正が行われることになったのです。
具体的な法改正の理由には、下記のようなものがあります。

未来のマンション住民が抱える問題があるから

マンションが盛んに建てられ始めたのは、1960年代頃からです。1980年代に建てられたマンションは、2020年現在、築40年弱ということになりますから、そろそろ老朽化が目立ち始めるころだといえるでしょう。さらに今後、老朽化していくマンション戸数は増加する一方です。

国土交通省が公開した「築後30、40、50年超の分譲マンション数」によると、2019年3月31日時点で築40年を超えているマンションは91万8,000戸ですが、20年後の2039年には384万5,000戸にまで増加するという試算があります。
さらに、マンションの修繕に必要な修繕積立金について、計画よりも不足しているマンションが34.8%にも上ります。このうち、半数近い15.5%のマンションでは、20%以上の不足が出ています(国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」)。今後、マンションの老朽化が進んでいく中で、およそ1/3のマンションが積立金不足に陥るというのは、大きな問題です。

マンション管理適正化法の改正によって、国や地方自治体による管理体制の強化が図られることが期待されます。また、マンション建替え円滑化法の緩和によって、耐震性があるマンションでも老朽化による建替えがしやすくなります。

管理によってマンションの資産価値が変わるから

マンションの資産価値は、立地や築年数によっても変わりますが、管理によって左右される部分もあります。特に、築年数が長くなればなるほど、それまでどのように管理されてきたのかが、マンションの状態に多大な影響を及ぼします。
同じ築30年のマンションでも、計画的な修繕がなされているマンションと、そうでないマンションでは、外壁や共用部分等の状態がまったく違ってきます。マンションの老朽化を防ぐことは、マンションの資産価値を落とさないためにも大切なのです。

今回のマンション管理適正化法の法改正によって、管理計画に対する認定が行われるようになれば、「認定を受けているかどうか」というチェックができるようになり、マンションに付加価値がつくかもしれません。
今後、法改正による具体的な基本方針の内容や、認定の活かし方に注目していきましょう。

マンションの老朽化や建替えについて考えておこう

新築マンションを購入するときに、マンションの老朽化や建替えについて、実感を持って考えるのは難しいかもしれません。しかし、マンションを保有し続けるのであれば、いつかは必ず直面することになる問題です。
適切な管理を行って老朽化を遅らせるとともに、修繕積立金不足に陥らないようマンション管理を行う必要があるでしょう。併せて、最新の法改正や法制度について知っておくことが大切です。