マンションの購入を検討しているとき、マンションの価格や住宅ローン返済額にばかり着目していると、思わぬ落とし穴にはまってしまうおそれがあります。なぜなら、マンションを購入するときに必要になるお金は、マンション自体の金額だけではないからです。
具体的に、いつ、どのような費用が、いくらくらいかかるのか、マンション購入にかかる費用のすべてをご紹介します。
【マンション購入費用】意外と知らない諸費用と支払うタイミング
- マンションバリューマガジン編集部
- 株式会社マーキュリー
マンション購入にまつわる諸費用とは
マンションを購入する際にかかる費用には、物件自体の価格に加え、税金や保険金といった費用があります。
マンション購入時に、物件価格以外に必要になる税金等の費用を「諸費用」といいます。諸費用の目安は、新築マンションの場合で物件価格の3~6%、中古マンションの場合で物件価格の5~10%程度です。例えば、3,000万円の新築マンションを購入する場合は、物件価格以外に90万~180万円ほどの費用を見込んでおかなくてはなりません。
さらに、新築マンションの間取りや設備を変更してもらう場合、中古マンションのリフォームを行う場合は、工事内容に応じた追加費用が発生します。また、新しく購入する家具や家電の代金や、引越しにかかる費用なども考える必要があります。
このように、マンションを購入する際はマンション本体の費用以外にも、さまざまな費用が必要になります。物件価格だけを考えてマンションを購入してしまうと、後々、必要な資金を工面するのに苦労することになりかねません。いつ、どんな費用がかかるのかを理解した上で資金計画を立てましょう。
マンション契約時にかかる費用
マンションを購入する際、最初にお金を支払うのが「マンション購入の申し込みをしたとき」、あるいは「契約を結んだとき」です。このときにかかる費用の内訳と目安をご紹介します。
申込証拠金
申込証拠金は、契約よりも前の、事前申し込みをする場合に必要になるお金です。これは、購入の意思を表すためのもので、金額は販売会社によって異なりますが、10万円程度のケースが多いです。絶対に必要なものではありませんから、販売会社によっては申込証拠金を支払わなくて良いこともあるでしょう。実際の金額や要・不要については、販売会社に問い合わせてください。
申込証拠金は、実際に契約をした場合、手付金の一部として全額が充当されます。また、マンションの購入申込みをキャンセルした場合は返金されます。
手付金(頭金)
マンションの購入契約を結んだ際に支払うのが手付金(頭金)です。支払った手付金は、物件価格の一部に充当されます。
手付金の目安は、物件価格の5~10%程度ですが、売主と買主が合意した場合は、この範囲外の金額でも問題ありません。上限は物件価格の20%ですが、これは売主が不動産会社の場合です。売主が個人の場合、上限はありません。
手付金は原則として現金で、契約当日に用意します。そのため、手持ちの現金がなく、フルローンで物件購入を検討しているという方は、手付金の金額を低く設定してもらうか、借りるなどして工面する必要が出てきます。
手付金の金額が数十万~数百万円と大きい場合、持ち歩くのは不安ですし、引き出すのもたいへんです。支払いは振込でも可能としている販売会社も多いですから、事前に確認しておきましょう。
なお、カードローンやキャッシングを利用すると、その後の住宅ローン審査に影響が出てしまうため避けてください。
印紙代
不動産の売買契約書には、印紙を貼付する必要があります。印紙代は契約の価格によって異なり、例えば1,000万円超5,000万円以下の場合は10,000円となっています。なお、この金額は2020年3月31日までに契約書を結んだ場合に適用される軽減措置によるもので、通常は20,000円です。
変更工事代金(半金)
設備等の変更工事を申し込んだ場合は、このタイミングで変更工事代金の半金を支払うことが一般的です。金額は、どのような変更を行うのかによって大きく異なります。物件価格や諸費用、それ以外にかかる費用との兼ね合いを考えながら、無理のない工事内容を検討しましょう。
仲介手数料
仲介業者を通して、物件を購入する場合にかかります。金額の上限は、「(物件価格×3%+60,000円)+消費税」と宅地建物取引業法で定められています。おもに、中古マンションを購入するときにかかるもので、新築の分譲マンションの場合は、仲介業者が取引を仲立ちすることがないため、仲介手数料はかかりません。
マンションの引き渡し時にかかる費用
マンションの購入費用には、契約(申込み)のタイミングのほかに、引き渡し時にかかる費用があります。引き渡し時にかかる費用を見ていきましょう。
物件代金(手付金を引いた額)
マンション引き渡しのタイミングでは、マンション自体の代金である物件代金がかかります。現金で支払う場合は、物件の代金から手付金を差し引いた残額を支払います。
一方、住宅ローンを組む場合は、金融機関が物件代金から頭金(手付金)を差し引いた金額を支払い、契約者はその金額と利息分を返済していくことになります。
ローン借入に関する費用
住宅ローンの借入れをする際は、保証料や取扱手数料といった費用が別途必要です。これらの費用は、借り入れる金融機関や物件費用によって金額や内訳が異なります。
また、物件に抵当権をつけるための登記費用や、契約書に貼付する印紙代もかかります。登記費用は住宅ローン借入額の0.4%ですが、2020年3月31日までは一定の要件を満たすことで、軽減措置として0.1%が適用されます。印紙税は契約金額によって違い、1,000万円超5,000万円の場合で20,000円です。
適合証明手数料
住宅金融公庫のフラット35やフラット35Sなどを利用して住宅ローンを契約する場合、契約条件にあてはまっていることを表す適合証明手数料が必要です。費用は申請内容や申請タイミング等によって異なります。
登録免許税
マンションを購入したときは、マンションの所在地や面積、所有者についての情報を法務局に登録しなければなりません。登記するときに必要なのが登録免許税です。
登録免許税額は登記の内容によって異なりますが、所有権移転登記(持ち主が変わる)の場合は、物件費用の0.3%となっています。なお、これは2020年3月31日までの軽減税率が適用された利率で、通常は0.4%です。
また、登記は個人でもできますが、複雑なので司法書士に依頼するのが一般的でしょう。その場合は司法書士への報酬を支払う必要があります。
修繕積立準備金
マンションを購入すると毎月修繕積立金を支払っていくことになりますが、引き渡し時には、修繕積立準備金(一時金)を支払います。金額は物件の広さや建設された地域によって異なりますが、おおよそ20万~40万円程度です。
修繕積立準備金は新築マンション購入時にのみかかるもので、中古マンションを買った場合はかかりません。
変更工事代金(残金)
設備や間取りなどの変更工事を申し込んでいた場合は、工事代金の残額を引き渡しのタイミングで支払います。
引越し費用、家具・家電代金
引き渡しのタイミングで引越しをする方は多いでしょう。引越しの費用は荷物の多さや引越しする距離で変わりますが、時期によっても違いがあります。一般的に入学や就職、転勤が多い3~4月や、退去のタイミングである月末は引越し業者の繁忙期で、予約が取りにくい上に料金が高騰するため、できるだけ避けるといいでしょう。
また、新しいマンションでの生活のために家具や家電を買い替える場合も、このタイミングで費用がかかることになります。
マンション購入後にかかる費用
マンションを購入した後も、ランニングコストとして必要な費用や、マンションを所有したことで支払う税金などがあります。光熱費や通信費といった通常の生活費のほかに、どのような費用を意識しておくべきなのかをまとめました。
ローン返済費用
マンションは高額な買い物ですから、ローンを組んで購入する方が多いでしょう。その場合、毎月ローンの返済費用を支払うことになります。変動金利で住宅ローンを組んでいる場合は、将来的にローン返済額が変わる可能性があるため、金利動向に注意しましょう。
団体信用生命保険料
住宅ローンを契約する場合、団体信用生命保険の加入が条件になっていることが多いです。団体信用生命保険は、住宅ローンの契約者に万が一のことがあって返済ができなくなった場合、残りのローンを生命保険会社が返済してくれるシステムです。保険料は年数が経過し、借入金額が減少するに従って減っていきます。しかし、ほとんどの金融機関では、保険料を金融機関が負担するため、別途支払っている感覚はないかもしれません。
住宅金融支援機構の住宅ローンであるフラット35の場合は、必ずしも団体信用生命保険に加入しなくても利用できるため、その場合は保険料の負担はありません。
不動産取得税
不動産取得税は、不動産を取得した人全員にかかる税金で、支払うのは1回だけです。市町村によって異なりますが、取得後半年から1年程度で納税通知が届きます。
不動産取得税は、固定資産評価額を元に課税され、通常は税率4%ですが、2021年3月31日までは軽減措置として3%が適用されます。さらに、課税床面積が40~240平方メートルの場合は、特例として1,200万円が控除され、不動産取得税は「固定資産評価額-1200万円×3%」で計算されます。
固定資産税
毎年1月1日時点で不動産を保有している人には、固定資産税がかかります。6月末日、9月末日、12月末日、3月末日の4期に分けて支払いますが、一括で納付することも可能です。固定資産税も2021年3月31日までは軽減措置が適用され、取得から5年間にわたって、税額の2分の1が減額されます。
管理費
マンションの管理に必要な管理費は、毎月支払っていくことになります。
修繕積立金
将来の大規模修繕に備えて、修繕積立金を積み立てます。修繕積立金は、経年ごとに値上がりしていくことが一般的です。当初の金額が続くわけではありませんから、値上がりまで視野に入れて資金計画を立てましょう。
火災保険料
住宅ローンを組んでマンションを購入するのであれば、火災保険に加入する必要があります。現金で購入する場合の加入は任意ですが、万が一のときのために加入しておくのがおすすめです。
1年単位での加入のほか、5年、10年など、長期間にわたって保険をかけることもできます。保険料は、物件や保険会社によって異なりますが、10年で10万円前後のことが多いようです。また、1年ごとに契約を更新する年払いと、5年・10年分の保険料を一気に払う一括払いがあり、一括払いのほうが割安になる傾向があります。
申し込んでから補償が開始になるまで1~2ヵ月程度かかることがありますので、早めに検討しましょう。
駐車場代、駐輪場代
車や自転車を保有している人は、マンション内の駐車場や駐輪場を契約する必要があります。利用には規定の料金がかかる場合が多いため、あらかじめ調べておきましょう。引越しをしたことで、新たに車や自転車を使って通勤・通学をするようになった場合は、別途、駅や会社近くの駐車場・駐輪場を確保しなければならない可能性も出てきます。
マンション購入は物件価格以外にもかかる費用を念頭に入れて
マンション価格や住宅ローンの返済費用だけを考えてマンションの購入を決めてしまうと、そのほかに発生するさまざまな費用に、対応できなくなってしまうおそれがあります。余裕を持ってマンションを購入するためにも、あらかじめどのような費用がかかるのかを知っておきましょう。
目先の費用だけでなく、長期的な資金計画を立てることが、健全な家計を維持したままマンションを購入する秘訣です。
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