価格の高止まりが続く首都圏のマンション市場。「もう少し下がったら…」と、祈るような気持ちで買い時の到来を待っている人も多いのではないでしょうか。世帯数の増加がピークに達する2023年、団塊の世代が後期高齢者になる2025年など、マンションの価格が下がるといわれる時期はいくつかありますが、そのタイミングと確実性については諸説あることも確かです。
【専門家インタビュー】マンションは値下がりする?売買のタイミングと物件の見極め方
- マンションバリューマガジン編集部
- 株式会社マーキュリー
果たしてこの先、本当にマンションの価格が値下がりする時期は来るのでしょうか。「良い物を安く買って、高く売る」という理想を実現するための買い時と、買うべき物件の見極め方について、株式会社シー・エフ・ネッツ、不動産コンサルタントの中石輝さんにお話を伺いました。
新築マンションの価格は、今後しばらくピークが続く
――中石さんは、今後のマンション価格の動向についてどのように見ていらっしゃいますか。
都心部のマンションの価格が高騰する一方、2020年の東京オリンピック・パラリンピックへの期待値で不動産を購入していた投資家が、オリンピック閉幕後に「売り」に転じるという予測もあり、「マンション価格は値下がりする」という話をよく耳にするようになりました。しかし、新築マンションの価格は今もピークの状態にあり、こうした状況はしばらく続くと私は見ています。
――すぐに値下がりはしないと。
少なくとも、今後1年間に販売される物件は、土地が高い時期に、入札でさらに釣り上がった価格で業者が購入して建てられたマンションです。最近の入札価格って本当に高いんですよ。私は不動産売買に携わって20年以上になりますが、私が計算した適正価格と実際に落札された価格とではダブルスコアくらい開きがあります。加えて、オリンピック特需や人手不足で建築費も高い。オリンピックが終われば建築費も下がると見る向きもありますが、人手不足が解消するわけではありませんよね。
土地を高く仕入れていて、建築費も変わらないとなれば、価格を下げる余地はないだろうというのが私の見解です。特に、立地条件の良いところは入札も相次ぎますし、まだまだ高値で推移していくのではないでしょうか。
――郊外になると状況は違いますか?
そうですね。何かしら商品価値をつけることによって売れていくような郊外の物件は、入札が相次ぐ都心部の人気エリアとは話が違ってきます。基本的に相対取引になりますが、今売り出している物件でも、「少し前に比べるとかなり価格が落ちたな」と感じると思います。
郊外型のマンションを検討している場合は、金利が低い今なら「賃貸で家賃を払い続けるより良い」という感覚で購入する人が主流ですね。今の金利の低い住宅ローンであれば、毎月の返済に占める元本充当分も多く、早めの完済も可能です。都心部と郊外型とのこうした二極化は、今後も進んでいくと思います。
土地が安い時期に建築費をかけて建てた中古物件は狙い目
――都心部の新築マンションが値下がりするのを待って買おうという考え方は、現状ではきびしいということですね。
値下がりを待っていると、いつまで経っても買えないかもしれません。ご存じのとおり、マンションの価格が一番高かったのは、1989年前後のバブルのころです。郊外の50平方メートルで駅から徒歩15分くらいの物件でも4,000万円から5,000万円はしていて、金利8%でも次々に買われていたような時代でした。
その後、バブルが崩壊して1996年から1997年くらいになると、かなり価格を下げてもマンションが売れなくなっていきます。私が新卒で不動産売買を行う企業に就職したのは1997年ですが、当時は「マンションの価格は1年ごとに下がるものだ」と認識していました。そこからどんどん下がって、底を打ったのが2002年から2003年頃です。再びじわじわ上がって、リーマンショック前のピークを経て落ち着き、また2011年から2012年頃から上がり始めて、今もピークが続いているというのがおおよその不動産価格の推移ですね。
私のお客様で、2002年のちょうど底のときに、横浜のタワーマンションを3,000万円で購入した方がいましたが、4年住んだ後に3,400万円で売却したという例がありました。築16年ほどになる今も、そのマンションは2002年当時の新築分譲価格より高く売れています。不動産売買は、いってしまえばタイミングなんですよね。
――安いときに買って高く売れたら理想的ですが、資産価値が下がらないのはどのようなマンションなのでしょうか。
ビンテージマンションとして知られる広尾ガーデンヒルズのように、そこに住むこと自体がブランドになってしまえば、経年劣化で価値が落ちることはありません。マンションを買うというよりは、空間を買うという感覚の物件ですね。また、土地が安い時期に、信頼できるデベロッパーが十分な建築費をかけて建てたマンションは、建物そのもののグレードが高い傾向があるので、価値が下がりにくいと思います。先程お話しした、横浜の2002年築のマンションが正にそうですね。
こうしたマンションは、近隣エリアの人たちの憧れの対象になっていることがあり、周辺の新築マンションはどうしても比較されてしまいます。すると、例えば雨どいが外側に見えているとか、ベランダがコンクリートを使わずにアクリルパネルで処理されているとかいった、新築マンションの粗が目立ってしまって、購入を取りやめるケースもあるんですよ。
――新築にこだわらず、中古マンションを検討してみるのもひとつの手ですね。
2011年から2013年のあいだに建てられた物件も、かなりグレードが高いんです。当時、良い土地を買えたのは財閥系のデベロッパーくらいですから、建築費も十分にかけていて高級感がある。しかも、新築時に比較的安く購入しているので、売却価格は控えめです。今の金利なら確実に買い時だといえるでしょう。
あとは、売り出し価格を高く設定しすぎて売れ残った新築マンションも、数年後には値下がりする可能性があります。大手デベロッパーは、売れ残っても新築の段階では基本的に値下げをしませんから、いったん賃貸に出した後で値を下げて、中古で売り出すことがあるんです。どれくらいの価格設定で売り出すかにもよりますが、このタイミングを待てば安く買えるかもしれませんね。
「駅力」は絶対条件、「北東向き」もお得!
――ライフスタイルの変化がきっかけでマンションを購入する場合は、物件に求める条件が増えますが、同じような選び方で良いのでしょうか。
多くの方は、何らかのライフサイクルの変化によってマンションの購入を検討します。特に多いのは、「お子さんが生まれた」「小学校に入学した」「独立した」といった、子供絡みの変化ですね。そうすると、「子供が郊外の学校に通っているのに品川の物件を買うのは難しい」「共働きを続けるためには実家の近くに住むのが絶対条件」といった具合に、不動産選びに別の軸が加わります。転売を見据えた将来的な資産価値よりも、「実家の近く」という条件を優先しなければならないなら、「住み続けるための家を買う」という視点に切り替えて、利益は度外視して不動産を探す必要があります。
いわゆる「マンションわらしべ長者」になれる可能性があるのは、子供や職場などの条件に縛られない人ですね。ですから、できればライフスタイルが変化する前に値頃感のあるマンションを買って、将来的な住み替えで利益を出すというやり方がおすすめです。今の時代、20代、30代の人が「一生に一度の買い物」として不動産を買うのは、時代遅れだと思いますよ。
――小回りが利くうちに、将来の住み替えを見据えた物件を手に入れておくという感覚ですね。転売しやすく、利益を出しやすい不動産の条件がほかにあれば教えてください。
なんといっても「駅力」でしょう。以前、子供はまだ考えていないというご夫婦に、お勤め先へのアクセスが良く、将来的な値上がりを期待できる物件として、北千住の中古マンションをご紹介しました。北千住は、JR常磐線、東京メトロ日比谷線・千代田線、東武伊勢崎線、つくばエクスプレスの5路線が乗り入れていて、都心はもちろん千葉県、埼玉県、茨城県へもアクセスしやすいターミナル駅です。さらに、再開発をきっかけに大学の移転が相次いだことによって、街が若返りました。
このように、交通の要衝になっていて乗り換えが便利な駅周辺の不動産は、年月を経ても高値で売れる可能性が高いですね。再開発で街が活性化し、人の流入が増えていればなおさらです。同様の視点から、オリンピックに伴う再開発で、雨後の筍のようにマンションが林立している晴海周辺も、将来的な転売益が見込める可能性のあるエリアです。地域のランドマークになりうる物件「その物件限定」で探す人が一定数いるのでなおさらですね。
――方角についてはいかがですか。割高でも南向きを買うべきでしょうか。
日本は南向き信仰が根強いので、南向き、南東向きにこだわる人が多いですね。多くのデベロッパーも、新築分譲時の売り出し価格は南向きの物件のほうを高くし、北向きの物件に割安感を出しています。でも、マンションという住戸形態に限っていえば、どの部屋もほぼ一定の採光性が確保されていますから、光が入りすぎて家具焼けしやすい南向きよりも、私個人としては北東向きがおすすめなんですよ。
特に、眺望が良い北東の部屋なら、新築時は割安で買えるのに転売時には高値がつくこともあります。どちらかといえば、南東向きで広め、坪単価設定も高い部屋は、高値つかみしている分、利益が出にくいので注意が必要です。従来の常識にとらわれることなく、安く買って利益を出すための「買い時」と「買うべき物件」を見極めていただきたいと思います。
高止まりする市場でも「買い」の物件はある
「下がる下がる」といわれている首都圏のマンション価格ですが、現実的にはしばらくは高止まりが続きそうです。
信頼できるデベロッパー、将来性のあるエリア、駅力、方角についての考え方など、今回の話を参考に「買うべき物件」と「タイミング」を見極め、将来性ある不動産取引につなげましょう。
注目のエリア
※実際の流通価格を保証するものではありません。予めご了承ください。
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