マンション経営のイメージは人それぞれです。「儲かりそうだからすぐ始めたい」という方もいれば、「素人には難しそうで、なかなか手が出ない」という方もいるでしょう。
始める前に知っておきたいマンション経営のメリット・デメリット
- マンションバリューマガジン編集部
- 株式会社マーキュリー
近年、マンションを購入して賃貸に出すことを、広くマンション経営と呼ぶ傾向があります。しかし、その目的は「資産運用」と「資産形成」に分かれ、それぞれ考え方が異なります。まずは、自分が考えるマンション経営が短期的な利回りを目的とした投資なのか、将来への投資なのか、目的をはっきりさせておくことが大切です。
ここでは、将来の環境の変化を見越してマンションを取得する「資産形成」という側面から、マンション経営のメリット・デメリットについて解説します。
- マンション経営の目的には「資産運用」と「資産形成」がある
- 資産運用か?資産形成か?
- マンション経営のメリット
- 1 家賃収入で将来の備えができる
- 2 生命保険代わりになる
- 3 節税効果が期待できる
- 4 最終的に現物が残る
- 5 家賃相場が安定していて収入の目安がつきやすい
- 6 事例にならって「正解」を判断できる
- マンション経営のデメリット
- 1 入居者がいないとキャッシュが出ていく
- 2 修繕費のほか、突発的なコストがかかる
- 3 災害や事故のリスク
- 4 物件選びの“目”がないと失敗する
- マンション経営の注意点
- 突発的なコストを見越してキャッシュを用意
- 中古なら修繕積立金の状況と修繕時期を確認
- メリット・デメリットを踏まえて目的に合ったマンション経営を
マンション経営の目的には「資産運用」と「資産形成」がある
マンション経営には、一般的に2つの目的があるとされています。
1つ目は、マンションを購入して賃貸に出し、家賃収入(インカムゲイン)を得ること。2つ目は、購入したマンションを売却し、売却益(キャピタルゲイン)を得ることです。
こうした「資産運用」に加えて、3つ目の目的として覚えておきたいのが「資産形成」です。具体的にいうと、住み替えを見越してマンションを買っておき、住み替えるまで賃貸に出して家賃収入を得るというものです。不動産は、所有権を持ったまま貸与し収益を得られる、ほぼ唯一の投資商品。この特徴を活用した資産形成は、資産運用とは視点の異なるマンション経営の方法だといえるでしょう。
資産運用か?資産形成か?
目的を資産運用と資産形成のどちらに据えるかは、購入するのがワンルームマンションか、ファミリータイプかによっても異なります。
ワンルームマンションを投資用物件として購入する場合、その目的は将来的な住まいを得るためではなく、リターンを期待するものであり、購入したその瞬間から利回りを追い続けることになります。すでにある資産を減らさないようにしたり、さらなる利益を求めたりして利用するワンルームマンションは、資産運用にあたるといえるでしょう。
一方、ファミリータイプの場合、貸すことで人にローンを支払ってもらい、最終的に自分の資産にするという考え方になるでしょう。つまり、「子供が独立したときに備えて」「親の介護が必要になったときのために」といったように、将来起こりうる変化を見据えて「購入できるときに購入しておく」という、いわば保険に似たイメージです。将来的に必要なファミリータイプのマンションを購入してローンを支払っていくことは、資産がない状態から資産を築くことですから、資産形成と考えられます。
投資用にワンルームマンションを買ったわけではなくても、将来の自分と家族のために1つ目のマンションを購入した時点で、将来の売却に備えたマンション投資が始まっているともいえます。
マンション経営のメリット
資産形成を目的としてファミリータイプのマンションを購入した場合、そのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。具体的に考えてみましょう。
1 家賃収入で将来の備えができる
先々の環境の変化に備えてマンションを買っておきたいけど、今住んでいるマンションと二重ローンになるのはきびしいという方もいるでしょう。そういった場合でも、賃貸で得られる家賃収入で、片方のローンを支払っていくことができます。
ただし、短期的に大きなリターンを望むことはできません。自分でお金を払うことなく2つ目の資産を持ち続けているという感覚で、「足が出なければいい」と割り切ることが重要です。
2 生命保険代わりになる
「住宅ローンを組む際、ほとんどの金融機関で団体信用生命保険への加入を必須としています。団体信用生命保険は、ローンの借り入れをする方に万一のことがあったとき、残された家族が返済に苦しむことがないよう、また住む家を手放さずに済むよう、住宅ローンの残債を代わりに返済してくれるしくみです。
例えば、マンションのローン残高が2,000万円の時点で、借入者が死亡したり重度の障害を負ったりした場合、保険会社が金融機関に保険金として2,000万円を支払うことになります。残された家族は、ローンが完済された状態のマンションに住み続けることができます。
注意しなければならないのは、団体信用生命保険はあらゆるリスクをカバーできるものではないということ。保障内容を確認して、ほかの生命保険と重複している部分や不足している部分を調整することをおすすめします。
3 節税効果が期待できる
不動産を取得し、賃貸で収入を得た場合、課税対象となる所得は、家賃や共益費、管理費、礼金といった総収入から、修繕費や固定資産税、借入金利、減価償却費などの必要経費を差し引いて求めます。このことによる節税効果は、大きく2つあります。
・減価償却費を費用として差し引ける
購入した物件の築年数が耐用年数内のあいだは、減価償却費として差し引ける費用が多くなりますので、節税効果が期待できるでしょう。
・不動産所得が赤字の場合、損益通算ができる
会社員の場合、不動産所得によって生じた赤字を給与所得から差し引く「損益通算」が可能です。これにより、課税対象となる給与所得が少なくなるため、所得税や住民税の減税につながります。
なお、損益通算は、株やFXといった金融商品ではできない、不動産投資のみの節税方法です。
4 最終的に現物が残る
一般的に、投資は浮き沈みによってすべてをなくす可能性がありますが、不動産の場合は最終的に現物が残ります。そのため、価値がゼロになるリスクが極めて低いというのは大きなメリットです。
5 家賃相場が安定していて収入の目安がつきやすい
日本の賃貸契約は、基本的に借り手に有利で、オーナーが勝手に判断して賃料を上げることができません。そのため、家賃相場が安定的でインカムゲインが予測しやすく、支出さえわかれば総収入の目安もつけやすいというメリットがあります。
6 事例にならって「正解」を判断できる
他の投資商品は、価格の予測がしにくく、予測の信頼性にも疑問が残る部分があります。その点、不動産は、周辺の状況や事例から、正解に近い見通しをつけることができます。
マンション経営のデメリット
次に、マンション経営のデメリットについて考えてみましょう。
1 入居者がいないとキャッシュが出ていく
マンションを賃貸に出したとき、途切れなく入居者がいることが理想ですが、時にはしばらく入居者が入らない可能性もあります。このようなとき、ローンは組めても手元のキャッシュに余裕がないと、未入居期間が長引くにつれて持ち出しが増え、家計を圧迫しかねません。
2 修繕費のほか、突発的なコストがかかる
マンションの修繕積立金は、マンションの外側や共用部の修繕に対してのみ使用されます。そのため、室内に修繕を必要とする破損個所などが生じた場合には、オーナーが都度対処しなくてはなりません。
また、入居者の退去に伴うクロスの張替え、水回りの清掃、フローリング掃除といった室内のクリーニングも、オーナーの責任です。
借主の責任で生じた傷や消耗は入居時に預かった敷金を充当し、超過分を請求できます。しかし、年劣化や通常の使用による消耗は、貸主の責任で対処することになります。こうした修繕費やクリーニング費も準備しておく必要があるでしょう。
3 災害や事故のリスク
不動産投資は現物が残るため、価値がゼロになることが少ないのがメリットですが、天災によるリスクは考えておかなくてはなりません。
例えば、東日本大震災では、地震によって多くの建物が崩壊したほか、津波や原発事故によって二度と住むことができなくなった家も多々ありました。物件を選ぶ際には、自治体が作成しているハザードマップで物件周辺の洪水・地震・津波のリスクを確認しましょう。併せて、ハザードマップでもカバーしきれない不測の事態に備えて、火災保険や地震保険への加入も必須です。
4 物件選びの“目”がないと失敗する
立地や仕様など、物件を購入する際に価値を見極める“目”がないと、賃貸に出しても入居者がなかなか決まらなかったり、売却しようとしても思うように買い手がつかなかったりする可能性があります。
物件選びのコツは、立地と利便性を重視して需要を見極め、「誰もが欲しがる」「ほとんどの人が住みたがる」物件を探すことです。もし、中古の物件を購入するなら、建てられた年やデベロッパーの情報も忘れずにチェックしましょう。
マンション経営の注意点
ご紹介したメリット・デメリットを踏まえて、マンション投資は以下の点に注意して行うことが大切です。
突発的なコストを見越してキャッシュを用意
マンション経営を始めるにあたって、ローンが組めたことだけで安心してしまう方は少なくありません。しかし、実際には、機器の故障や室内の破損、建具の立て付けの悪化、水回りのトラブルなど、突発的な事態が起きて予想外の持ち出しが必要になる場面が多々あります。平常時のランニングコストだけでなく、突発的なコストも見越してキャッシュを用意しておくことが重要です。
同様に、入居者が決まらず空室のままだったり、家賃の滞納を続ける入居者がいたりして、予定どおり家賃を回収できない場合も、予想外のコストがかかる可能性があります。
資産形成を目的としたマンション経営は、ローンを月の予算の中で余裕を持って返済できること、また、ある程度キャッシュに余裕があることを確認した上で始めるようにしましょう。
中古なら修繕積立金の状況と修繕時期を確認
中古マンションを購入する場合、修繕積立金の状況と修繕時期の確認も忘れずに行いましょう。大規模修繕が迫った中古マンションでは、修繕積立金が値上げされたり、一時金が徴収されたりする場合があります。売主がこれを嫌って売却時期を決めた場合、購入してすぐにまとまったお金を支払わなくてはなりません。
修繕積立金の状況は、管理組合の財務状況を含めて、しっかり確認するようにしましょう。収入源として意外と大きい駐車場についても、滞納がないか確認しておくことをおすすめします。
メリット・デメリットを踏まえて目的に合ったマンション経営を
「これからマンション経営をスタートしたい」と思ったら、まずはインカムゲイン・キャピタルゲインに重きを置いた「資産運用」なのか、将来の保険代わりになる「資産形成」なのか、目的をしっかり定めましょう。
資産形成を目的とする場合は、お金の「入り」と「出」を見極めて、平常時のランニングコスト以外に突発的なコストを見越して資金を用意しておくことと、マイナスにならなければいいという感覚で経営することが重要です。
注目のエリア
※実際の流通価格を保証するものではありません。予めご了承ください。
人気の記事
- マンションバリューマガジン編集部
PICKUP
- マンションバリューマガジン編集部
- 株式会社マーキュリー
- マンションバリューマガジン編集部
- 株式会社マーキュリー
- マンションバリューマガジン編集部
- 株式会社マーキュリー
- マンションバリューマガジン編集部
- 株式会社マーキュリー