人が亡くなると、相続について考えなければならなくなります。相続財産が現金だけであれば、スムーズに分割することもできますし、相続税の計算も簡単でしょう。しかし、マンションのような不動産が遺された場合、そうはいきません。
簡単に分けることができず、価値もわかりにくい不動産が遺されたときは、いったいどのように手続きを進めればいいのでしょうか。マンションの相続についてまとめました。
マンションを相続することになったら?知っておきたい税金と分割方法
- マンションバリューマガジン編集部
- 株式会社マーキュリー
- 分譲マンションを相続できる人とは?
- 法定相続人
- 法定相続分
- 相続分の譲渡と放棄
- 相続税計算時の分譲マンションの価値とは?
- 相続税の計算方法
- 1. 相続税がかかる金額を求める
- 2. 法定相続人の法定相続分に応じて遺産を分割する
- 3. 法定相続人の相続分に対して相続税を計算する
- 4. 相続割合に応じて相続税を決める
- 分譲マンション相続までの流れ
- 1. 遺言書の確認
- 2. 相続人を確認
- 3. 相続財産を確認
- 4. 遺産分割協議
- 5. 名義変更
- 6. 相続税の支払い
- 分譲マンションの遺産分割がうまくいかない場合
- 分譲マンションを相続した際の3つの選択肢
- 相続した分譲マンションを売却した際の税金
- 相続税の計算は間違いがないように進めよう
分譲マンションを相続できる人とは?
亡くなった人(被相続人)の財産は、民法によって受け継ぐ人や分割の方法などが定められています。遺言書等により任意の人に遺すこともできますが、そうでない場合は、一般的に法定相続人が相続することになるでしょう。法定相続人はそれぞれの立場で、法定相続分が決められています。
法定相続人
遺産を相続する権利が法的に認められている人のことを、「法定相続人」と呼びます。法定相続人は、配偶者と血縁で構成されていて、血縁については下記のように相続順位が決められています。
・第1順位:被相続人の子(すでに死去している場合、その子や孫(被相続人の孫、ひ孫))
・第2順位:直系尊属(両親。2人とも死去している場合のみ、祖父母や曾祖父母)
・第3順位:兄弟姉妹(すでに死去している場合、兄弟姉妹の子)
法定相続人は、配偶者+血縁(第1~第3順位のうちいずれか)です。血縁は、第1順位がいれば第1順位、いなければ第2順位、第2順位もいなければ第3順位となります。
例えば、配偶者と子2人(うち1人は死亡)、孫3人(存命中の子の子供が1人と、死亡した子の子供が2人)、両親、兄がいる人が亡くなった場合の法定相続人は、配偶者、存命中の子1人、死亡した子の子供2人の合計4人となります。
法定相続分
法定相続分とは、民法で決められた遺産相続の割合のことを指し、被相続人との関係と、法定相続人が誰なのかによって決まります。具体的な例を見てみましょう。
・配偶者+子
配偶者:2分の1
子:2分の1
子が複数いる場合、全員で2分の1を分けます。子が2人の場合は、それぞれ4分の1ずつが法定相続分です。
・配偶者+直系尊属
配偶者:3分の2
直系尊属:3分の1
親が2人ともいる場合、それぞれ6分の1ずつとなります。
・配偶者+兄弟姉妹
配偶者:4分の3
兄弟姉妹:4分の1
兄弟姉妹が2人いる場合、それぞれ8分の1ずつとなります。
・配偶者がいない場合
最も順位の高い血縁者が、すべての遺産を相続します。この場合も、該当者が複数いる場合は等分します。
相続分の譲渡と放棄
法定相続分が決まっていても、それ以外の分割方法を認めないというわけではありません。相続人が合意することで、相続分を譲渡することも可能です。
例えば、配偶者と直系尊属が遺産相続をすることになった場合に、直系尊属が配偶者に遺産を譲渡し、配偶者が遺産の全額を受け取るということもできます。
また、相続を放棄し、「相続しない」という選択をすることもできます。上記の例で、仮に直系尊属の全員が相続を放棄した場合は、第3順位である兄弟姉妹が相続をすることになります。
相続税計算時の分譲マンションの価値とは?
相続税を算出するためには、まず分譲マンションを含めた遺産の総額を知る必要があります。しかし、預金とは違い、マンションの現在の価値ははっきり目に見えるものではありません。それでは、どのように計算するのかというと、相続の際の分譲マンションの建物の価値は「固定資産税評価額」、土地の価値は路線価から判断することになります。
建物の価値を示す固定資産税評価額は、固定資産税を算出する際の基準となる金額です。固定資産税評価額は、毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に明記されています。この金額が、現在の分譲マンションの相続税計算上の価値ということになります。
一方の路線価は、国税庁のウェブサイト「路線価図・評価倍率表」に明記されています。この路線価を土地の形状に応じた奥行価格補正率などで補正したものに、マンション全体の面積を掛け、最後に敷地権割合で割ったものが、相続税計算上の分譲マンションの土地の価値となります。
相続税の計算方法
それでは、実際に相続税を計算してみましょう。相続税の計算は、次の4ステップで行います。
1. 相続税がかかる金額を求める
相続税は、遺産の総額に対してかかるものではなく、遺産の総額から控除額を引いた金額に対して相続税が課せられることになります。そのため、まずは遺産の総額と控除額を求める必要があります。
遺産の総額を求める際の分譲マンションの価値は、前述のように固定資産税評価額と路線価から求めることができます。そのうち、土地の部分に関しては、「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」を利用して節税することができます。
これは、相続したマンションが被相続人の住まいだった場合や、被相続人と生計を一にする親族の住まいだった場合、330平方メートルまでに限り、相続税計算上の価値を80%減額できるという制度です。
一方、相続税の控除額については、法定相続人の数を次の式にあてはめることで求めます。
<相続税の基礎控除額の計算式>
相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
配偶者と子2人が法定相続人だった場合は、「3,000万円+600万円×(1+2)=4,800万円」が基礎控除額となります。
相続税は、基礎控除額を超えた部分に対して課税されます。なお、遺産総額が基礎控除額よりも少なかった場合、相続税はかかりません。
2. 法定相続人の法定相続分に応じて遺産を分割する
実際の相続額がいくらかは別として、相続税を計算するために、まずは法定相続分に応じた法定相続人の遺産の分割を行います。
仮に、妻と子2人が相続人で、遺産総額が8,000万円だった場合について計算してみましょう。
相続税がかかるのは、「8,000万円-4,800万円(基礎控除)=3,200万円」です。
法定相続分は、妻と子で半分ずつですから、妻が2分の1の1,600万円、子が4分の1ずつの1人800万円ということになります。
3. 法定相続人の相続分に対して相続税を計算する
算出した法定相続分の相続額に対して、相続税を計算します。相続税率は法定相続分の相続額によって異なります。
■相続税の計算例
法定相続分の相続額 | 相続税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | なし |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
妻が1,600万円、子が800万円ずつという前述の例の場合、子の相続税率は10%、妻の相続税率は15%で控除額が50万円ということになります。これを合計した金額が、相続税の総額です。
子1人の相続税額:800万円×10%=80万円
妻の相続税額:1,600万円×15%-50万円=190万円
相続税額合計:80万円×2+190万円=350万円
よって、この場合の相続税の総額は350万円となります。
注意したいのは、ここで計算した各相続人の相続税額が、そのまま納める相続税額ではないということです。相続税の総額を割り出すときは、法定相続分に応じて遺産を分割してから計算しますが、納める相続税額は、相続税の総額を実際の相続割合に応じて割った金額になります。
4. 相続割合に応じて相続税を決める
遺産相続は、必ずしも法定相続分どおりに分割するとは限りません。前述のようなケースでも、実際には子は相続をせず、全額を妻が相続するということがあるでしょう。遺産を相続しなければ、もちろん相続税も支払う必要はありません。
上記で相続税を計算した際は、妻の分が190万円、子の分が80万円ずつ、総額は350万円となっていました。実際に納める相続税は、相続税の総額を相続割合で案分して求めます。
そのため、法定相続のとおり妻が2分の1、子が4分の1ずつ遺産を相続した場合は、相続税総額を同様に案分し、妻が175万円、子が87万5,000円ずつ納めることになります。
法定相続分が2分の1と多いため、妻の納める相続税額は多くなりがちです。しかし、妻は相続の際に「配偶者の税額の軽減」を利用することができます。これは、1億6,000万円か、配偶者の法定相続分相当額のいずれか、大きい金額まで相続税がかからないという制度。そのため、上記の例では遺産の全額を妻が相続した場合でも、相続税はかからなくなります。
制度を利用するためには手続きが必要で、期限もありますから、しっかり確認しておきましょう。
分譲マンション相続までの流れ
実際に、分譲マンションを相続するまでの流れは、下記のとおりです。家族が亡くなった時期に相続手続きを行うのはたいへんなことですが、滞りなく行えるよう手順を理解しておきましょう。
1. 遺言書の確認
故人の遺言書がないかどうか確認します。遺言書がある場合は、遺言書の内容が優先されます。
2. 相続人を確認
親族のうち、誰が法定相続人なのかを確認します。仮に、遺言等があって相続人が決まっていたとしても、相続税の金額を計算するために、法定相続人をはっきりさせなければいけません。
3. 相続財産を確認
相続財産の内訳と金額を確認します。
4. 遺産分割協議
実際に誰がいくら相続するのか、何を相続するのかといったことを決めます。
5. 名義変更
マンションの名義を相続することになった人に変更します。
6. 相続税の支払い
相続税を支払います。
分譲マンションの遺産分割がうまくいかない場合
分譲マンションは、現金のように「半分ずつもらう」といったことができません。そのため、相続人のあいだでうまく分割協議が進まないこともあります。どのような分割方法があるのかを知っておきましょう。
<遺産分割の例>
- 売却し、現金化して分ける
- マンションを相続した人が、それ以外の相続人に現金を支払う
- マンションを共有名義にして、共同で保有する
分譲マンションを複数人で分ける場合は、上記のうちのいずれかの選択肢をとることになります。十分に話し合いを行い、禍根を残さない分割方法を検討しましょう。
分譲マンションを相続した際の3つの選択肢
実際に分譲マンションを相続した後は、何らかの方法でそれを活用することになります。空き家にしておいてもコストがかさむだけですから、メリットの大きい方法を選びましょう。とれる選択肢は下記の3つです。
<相続したマンションの活用例>
- 自分が住む
- 賃貸に出す
- 売却する
どれを選択すれば一番メリットが大きいかは、相続をした人の生活環境やマンションの現在の価値等によって異なるでしょう。
なお、売却した場合は、譲渡所得として税金がかかることになりますが、相続したマンションの場合、軽減措置を受けることができます。
相続した分譲マンションを売却した際の税金
相続した分譲マンションを売却した場合は、譲渡所得として所得税や住民税を支払うことになります。これは、相続税とは別にかかる税金です。
ただし、マンションの売却にかかる税金には、いくつもの優遇措置が設けられています。これらをうまく活用して節税しましょう。
・相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
相続税を支払った後で不動産を売却した場合は、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」で、相続税の一部を不動産の取得費にプラスして計算をすることができます。
これによって、所得税や住民税の計算根拠となる不動産の譲渡益を減らすことができますから、結果、節税につながります。
・被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」は、マイホームに住まなくなった日から3年経過後の12月31日までに売却した場合、3,000万円まで非課税になるという制度です。
2023年12月31日までであれば、一定の条件を満たすことで、被相続人が居住していた相続不動産についても、この特例が認められます。
・相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期
不動産を売却した際にかかる所得税と住民税の税率は、保有期間が5年超か5年以下かによって異なります。5年超の場合は長期譲渡所得となり、所得税が15%、住民税が5%となりますが、5年以下の短期譲渡所得の場合は、所得税が30%、住民税が9%となります(2037年12月31日までは、どちらの場合も別途復興特別所得税2.1%がかかります)。
相続した不動産を売却する場合は、被相続人の保有期間を合わせることができます。そのため、相続後5年以下で売却したとしても、被相続人の保有期間を合わせた年数が5年よりも長ければ、長期譲渡所得として計算をすることができます。
また、相続時に支払った登記費用や不動産取得税についても、物件の取得費用として算入できます。
相続税の計算は間違いがないように進めよう
相続財産に関する税金のしくみはとても複雑です。間違いがないよう、税務署や税理士などに相談しながら進めましょう。
また、相続割合を決定するといった作業は、法定相続人全員で話し合って合意する必要があります。遠く離れた親族などが集まったタイミングで、手続きをどのように進めるのか話し合う時間を持つようにしてください。
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