一昔前まで、住宅購入といえば30代、40代のファミリー層という印象がありました。しかし、最近では独身で住宅を購入するケースも増えてきています。独身の人がマンションを買うことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、独身でのマンション購入のメリット・デメリットと、覚えておきたい注意点をまとめました。
独身でマンションを購入する際に知っておきたいメリット・デメリット
- マンションバリューマガジン編集部
- 株式会社マーキュリー
独身のマンション購入者が増えている
総務省統計局の「全国消費実態調査」によると、1999年の単身世帯のうち、住宅・宅地資産のある男性は全体の約33.4%、女性は約52.9%でした。これが、2014年のデータでは男性は全体の約55.4%、女性は約70.4%が住宅・宅地資産のある単身世帯という結果になっています。
この数字には、配偶者に先立たれた方なども含まれていますが、それにしても、男性、女性ともに20%近くの上昇は、大幅な増加といえるでしょう。独身でマンションを購入する方が増えている背景には、「結婚しない」という人生を選択する方が増加していることや、老後の生活費等に対する不安を感じる方が多いこと、住宅ローン金利が低い水準を維持していることなどが考えられます。
多様な生き方が選択しやすい時代になったことで、「独身でマンションを買う」ことも、もはや特別ではなくなりつつあるのかもしれません。
独身でマンション購入するメリット
マンションの購入は、数百万~数千万円という非常に高額な買い物です。それなりのメリットがなければ、このような高額な買い物をしようとは考えないでしょう。
独身の人がマンションを購入する際に得られるメリットをまとめました。
老後の住まいを確保できる
老後資金に関する問題は、多くの人にとって深刻なものです。特に、家賃は生活費の中に占める割合も大きく、将来の生活を圧迫する可能性が高いものでしょう。
結婚していれば、自分と配偶者の2人分の年金をもらうことができます。しかし、独身の場合は、自分だけの年金と貯蓄で生活を切り盛りしなければいけません。こうなると、家賃の負担は一層大きくのしかかります。そもそも、独身で身元を保証する家族がいない場合、借りられる家が大幅に制限されてしまうこともあるでしょう。
このような「老後の住宅問題」は、マンションを購入しておくことで回避が可能です。持ち家があれば、管理費、修繕積立金、固定資産税の負担だけで、住み慣れた家で暮らし続けることができます。住宅ローンを完済していれば、同程度のクオリティの賃貸住宅を借りた場合に比べ、費用負担は少なくなるでしょう。「年金生活に入る前に完済できる程度の住宅ローンを組んで、将来は住居費の負担を圧縮して余裕のある暮らしを送れる」のは、独身の人にとって大きなメリットといえます。
将来は運用することも可能
独身でのマンション購入にあたって、「本当に一生そこに住み続けるのか?」という疑問を感じることがあるかもしれません。しかし、購入したマンションは、必ず自分自身が住み続けなければいけないわけではないのです。
転勤や家族構成の変化、介護などの問題で実家に戻ることになったなど、「そこに住み続けられない事情」ができた場合は、マンションを人に貸して賃貸収入を得ることも可能です。また、資産価値の高いマンションであれば、売却して差益を得られる可能性もあります。
こだわりを追求できる
賃貸マンションの場合、通常は自分の自由にリフォームやリノベーションができません。退去時に原状回復を求められることを考えると、壁に画鋲を刺すこともためらわれる方は多いのではないでしょうか。
しかし、分譲マンションであれば、管理規約に反しない限り、専有部分の使い方は自由ですから、好きなように部屋の中をカスタマイズできます。自分らしい住まいづくりがしたいと考えている方は、賃貸よりも分譲マンションを購入して手を入れたほうが自由度は高く、理想を実現しやすいでしょう。
独身でマンションを購入するデメリット
独身でマンションを購入することは、将来の住まいが手に入り、快適に暮らしていくことにつながります。しかし、中には購入を後悔してしまうケースもあるようです。
独身でのマンション購入がデメリットになってしまうのはどのような場合なのか、見ていきましょう。
将来的に間取りや場所がフィットしなくなる
生涯独身でいようと考えてマンションを購入した場合でも、その先の人生で、「結婚したい」「いっしょに暮らしたい」と感じる人が現れないとも限りません。また、一人で暮らしていく上でも、「昔はリビング以外に2部屋欲しかったけれど、生活空間をコンパクトにしたくなった」など、間取りの希望が変わる可能性もあります。
さらに、エリアの問題もあります。転勤、勤務先の移転、転職、両親の介護など、さまざまな理由で今のエリア以外の場所に暮らしたほうが、都合が良くなることもあるでしょう。
このような場合、賃貸住まいであれば気軽に引越しができますが、マンションを購入していると、気軽な住み替えができないという問題が起こります。
ローンの返済がきびしくなる
独身でマンションを購入した場合、返済も一人の収入から継続して行わなければいけません。転職や病気、会社の業績不振などの影響で収入が減少してしまい、当初は問題なかった返済額が負担になってしまうこともあるでしょう。
さらに、独身での購入に限ったことではありませんが、金利の上昇による返済額の変動もリスク要因として挙げられます。
希望どおりの価格で売却ができない
転勤や結婚による住み替えや、返済を続けられないといった理由で、マンションの売却を希望することがあるかもしれません。しかし、独身の生活に適した間取りのマンションの場合、中古マンション市場でのニーズはそれほど高くなく、希望どおりの価格で売却できない可能性もあります。
売却額が購入額を大幅に下回るようなケースでは、売りたくても売れないということになりかねません。
独身でマンションを購入する際の注意点
独身の人がマンションを購入するときは、後々のリスクを解消するためにも、事前に注意深く物件を選ぶ必要があります。独身でマンションを購入する際、物件選びで注意したいことをまとめました。
資産価値が落ちにくい物件を選ぶ
資産価値が落ちにくい物件を選べば、「返済がきびしくなった」「結婚して住み替えることになった」「実家に帰ることになった」という場合でも、スムーズに売却手続きを進めることができるでしょう。場合によっては、売却益を得ることも可能です。
独身の人がマンションを選ぶとき、「自分が住みやすいかどうか」を重視するのは当然のことです。しかし、もしものときのリスク対策のためには、「一般論として住みやすいかどうか」という点にも着目する必要があります。
自分の勤務している会社がターミナル駅から離れた駅にあったとしても、物件自体はターミナル駅に近い場所で探す、車通勤だったとしても駅近の物件を選ぶ、一般的に見て魅力的な設備が整ったマンションを選ぶなど、資産価値を維持しやすいマンション選びを心掛けましょう。
生活の変化に対応できる広さを選ぶ
生活の変化があった際に住み替えるつもりであれば問題ありませんが、同じマンションに住み続けるのであれば、ある程度広さのある物件を選んでおくのが安心です。
将来、結婚することになった場合、独身者用の1LDK物件では手狭でも、2LDKであれば同じ家に住み続けられるでしょう。また、独身でも両親や兄弟を呼び寄せて同居することがあるかもしれません。ペットを飼いたくなったときも、「ペットが入れない部屋」を1部屋作れると安心です。
このように、将来生活に変化があったとき、ある程度広い家であれば、さまざまな使い方に対応しやすくなります。なお、間取り自体は1LDKでも、リビングが広く取られていてスペースに余裕がある物件もあります。このような物件であれば、リノベーションで間取り変更をすることで、その時々の暮らしに対応させることができるでしょう。
返済額は無理がない設定にする
住宅ローンの返済額は、年収に対する返済比率が20~25%程度にしておくと安心です。また、この計算をする際、ボーナスを含めないとより安全度が上がるでしょう。例えば、月収20万円の人であれば、月々の返済額が5万円程度までの住宅ローンを組むのが目安です。
また、収入を元に返済比率を計算するとともに、現在の家賃額と月々の返済額と購入予定のマンションの「管理費、修繕積立金、固定資産税」を足して、無理なく返せるか考えてみるのもおすすめです。
購入する時期を検討する
独身の人がマンションを買う際に気を付けたいのが、「いつ購入して、いつまで住宅ローンを支払うのか」ということです。30歳までに購入すれば、35年ローンを組んだとしても、65歳の定年までに住宅ローンの返済を終えられます。
一方、40歳で住宅ローンを組んだ場合は、25年ローンまでにしなければ、定年時にローンの完済ができません。しかし、30歳で購入する場合よりも多くの頭金を入れられれば、利息の圧縮といったメリットを得ることもできるでしょう。マンションをいつ買うべきかは、それぞれの人の考え方や生活スタイルによって異なります。自分なりの資金計画を立てて、完済まで無理なく返済できるプランを検討しましょう。
独身のマンション購入のリスクは回避できる
独身の人がマンションを購入するときは、物件選びを慎重に行い、将来の負担にならないようにすることが大切です。また、資金難に陥らずにマンションに住み続けるためには、資金計画を立てて、無理のない返済額を知っておくことが大切です。
マンション購入のリスクを回避し、メリットを活用するためにも、十分な情報収集と事前準備を行いましょう。
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