マンションのような集合住宅に暮らす上で、周囲の人とのトラブルはできる限り避けたいものです。国土交通省が行った「平成30年度マンション総合調査結果」によると、「特にトラブルは発生していない」とするマンションは23.2%で、それ以外の約8割のマンションは何らかのトラブルを抱えていることになります。自分はトラブルを起こさないように暮らしていても、問題に巻き込まれることがあるかもしれません。
今回はマンションで発生するトラブルの中でも特に多い騒音トラブルについて、予防や解消の方法をご紹介します。
マンションでの騒音トラブルに巻き込まれないための方法とは?
- マンションバリューマガジン編集部
- 株式会社マーキュリー
騒音の基準って?
そもそも騒音とは、いったい何なのでしょうか。
環境省では、住宅地の騒音の環境基準として昼間は55dB以下、夜間は45dB以下という指針を出しています。これが具体的にどの程度の騒音なのか、日常生活でよく聞く音の具体例を見てみましょう。
<日常で聞く音の目安>
・エアコン 約41~59dB
・換気扇 約42~58dB
・風呂または給排水管 約57~75dB
・電話のベル 約64~70dB
・ピアノ 約80~90dB
・人の日常的な話し声 約50~61dB
※東京都環境局「生活騒音」より
これは、東京都環境局が出した目安です。人の話し声ですら55dBを超えてしまうこともあるため、環境省の基準はかなりきびしく設定されているといえるでしょう。
とはいえ、実際に集中して何かをしている最中に近くで会話されると、「うるさいなぁ」と感じることもあります。また、何でもないときは気にならなかったエアコンの稼働音や時計の針の音が、やたらと耳障りなときもあるでしょう。
このように、騒音というのは、その人やそのときの状況によって大きく感じ方が違うものです。一概に、「この音は騒音」「この音は騒音ではない」と線引きをして決めることはできません。これが、騒音問題の難しいところでもあります。
マンションの上下階や隣室の騒音トラブルはなぜ起こる?
音には、空気の振動で伝わる空気伝播音と、物体の振動で伝わる固体伝播音の2種類があります。
マンションの中で上下階や隣室に伝わる「騒音」には、空気伝播音も固体伝播音もどちらも存在しています。例えば、人の話し声やテレビの音、ペットの鳴き声などは、空気伝播音です。一方、固体伝播音は、上の階の人の足音、隣室のドアを開閉する音、排水管が水を伝う音などです。
空気伝播音も、固体伝播音も、普通に暮らしていれば、自然と出てしまう音です。こういった音を立てないように暮らせる人は、それほど多くないでしょう。しかし、このような何気ない音が、マンションでは騒音トラブルの元になってしまうことがあるのです。
事前にマンションの騒音トラブルを防ぐには?
空気伝播音は、音の発生源との距離をとったり、あいだに遮蔽物を置いたりすることで防ぐことが可能です。固体伝播音も、クッション性が高く、振動を伝えにくい床材や壁材などを使用することである程度防げるでしょう。
昨今のマンションでは、防音性の高い部材を使っていることが多く、騒音が気になりにくい構造になっています。しかし、それでも騒音を一切遮断することはできません。騒音に悩まされないためには、できるだけ音が気にならない環境のマンションを選ぶのが効果的です。ここでは、騒音に悩まされないマンションを選ぶポイントをご紹介します。
静かな立地を選ぶ
電車や車の音、周辺を歩いている人の話し声など、マンション内とは関係のないところが発生源となる騒音に悩まされることもあります。マンションを購入する前に、周辺の環境や騒音レベルについて確認しておきましょう。
このとき、昼間だけでなく、夜間の音についても合わせてチェックしておくことをおすすめします。騒音は、自分が静かにしているときにより強く感じやすくなるため、特に夜間の環境はチェックしておくことをおすすめします。
隣家の水周りと自宅の水周りが隣接した間取りを選ぶ
マンションの間取りをチェックするときに、自分の家だけでなく、両隣の家の間取りも確認してみましょう。水回りが隣り合っている間取りであれば、どちらが水を流した際も音がリビングや寝室に伝わりにくく、音の問題が起こりにくくなります。
音の問題は、自分が被害者になる場合だけでなく、同様に加害者になってしまう場合もあります。自分が被害を受ける可能性が高い間取りだけでなく、自分が騒音源になるリスクがある間取りについても、避けておくと安心です。
排水管に遮音材が巻かれているかチェック
排水管は、向き出しにしておくと水の流れる音が大きく響いてしまいます。そのため、遮音シートを巻いたり、遮音材と一体となった排水管を使用したりしましょう。このような遮音対策がとられているかどうか、確認してみてください。
床にクッション材が使われているマンションを選ぶ
フローリング材は、高級感のある床材として人気ですが、材質によっては音が伝わりやすいという問題点も持っています。クッション性の高い絨毯材や、遮音性の高いフローリング材を使った物件を選ぶことで、階上からの騒音被害を軽減することができるでしょう。
床のコンクリートが厚いマンションを選ぶ
床のコンクリートが厚ければ、それだけ高い遮音性が期待できます。具体的には、230mm以上の厚みがある物件を選ぶのがおすすめです。古いマンションの中には、厚みを十分にとっていない物件もあるため、中古マンションを購入するときは、特に確認しておきましょう。
住民と顔見知りになっておく
マンションの騒音トラブルは、「相手との関係性が築けているかどうか」も重要なポイントになります。お互い知った間柄であれば、ある程度の音が聞こえたとしても、「お互い様」として受け止められることもあるでしょう。
入居時の挨拶やマンション内で顔を合わせたときのコミュニケーションによって、トラブルを回避できる場合もあるのです。
騒音が気になったらどうする?
もし、生活を送る中で騒音が気になったら、まずは音を遮断する工夫をしてみましょう。家の中でできる騒音対策をご紹介します。
防音カーテン
窓の外からの騒音が気になるときは、カーテンを防音性能があるものに変えることで、ある程度の軽減が可能です。防音カーテンは固体伝播音を防ぐことはできませんが、空気伝播音を軽減させることが可能です。
家具の配置変更
隣の家からの音が気になる場合は、家具の配置を変えてみてください。音が伝わってくる壁際に大型家具を配置すると、音が遮断されて騒音が気にならなくなることがあります。
防振ゴム
自宅内の機器類が立てる音がうるさいということもあるかもしれません。そのようなときは、防振ゴムをかませて振動を小さくすると、騒音を軽減できます。
特に洗濯機は、大きな音を立てることが多いものです。防振ゴムや防振マットを敷くと、気になりづらくなるでしょう。
騒音に耐えられなくなったら?
自宅内の工夫だけではどうしても対応しきれないような騒音に悩まされることがあった場合は、まず、管理会社に相談しましょう。「絶対に上の階の人が原因だ!」と思っていても、自分で直接文句を言いに行くのはおすすめでません。階上からの騒音だと思っていたものが、思わぬところを伝ってきた斜め上の部屋からの騒音だったというようなケースもあるからです。
騒音問題は、決め付けで動くと深刻なトラブルに発展しかねないものです。管理会社にあいだに入ってもらい、穏やかに解決できる方法を模索しましょう。
騒音トラブルは物件選びである程度回避できる
マンションの騒音トラブルに遭遇するかどうかは、近隣にどんな人が住んでいるかという「運」によっても左右されます。しかし、防音性の高いマンションを選ぶことや、事前に昼間や夜間の騒音度合いを確認しておくこと、しっかり仲裁してくれる管理会社が管理しているマンションを選ぶことなどで、ある程度回避することもできます。
騒音トラブルに遭わないためにも、マンション選びは慎重に行いましょう。
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