マンションを購入するにあたり、住宅ローンを利用する人も多いでしょう。いくら借りるかは年収をベースに考えるのが一般的ですが、返済負担率を考慮しないと、審査に通らなかったり、途中で返済できなくなったりする可能性があります。 ここでは、マンション購入時に住宅ローンを組む上で重要となる返済負担率や、無理なく返済していくために知っておきたい住宅ローンの返済方法について解説します。
返済負担率が重要!無理なく返せる住宅ローンの金額とは?
- マンションバリューマガジン編集部
- 株式会社マーキュリー
住宅ローンの審査では返済負担率が重視されている
マンション購入を検討する際、住宅ローンがいくらまで借りられるかで、予算や物件の選択肢も変わってきます。すでに物件の目星がついている場合は、希望するマンションを購入できる可能性や、用意する頭金の額にも影響するだけに、借入可能額は重要になるでしょう。
さらに、住宅ローンを組むということは、長期にわたって借入額を返済していくことになります。人によっては、最長で35年かけて返済していくことも念頭に置いておかなければなりません。
住宅ローンを無理なく返済していける額は、年収の5~7倍が目安といわれています。年収500万円なら2,500万~3,500万円、年収800万円なら4,000万~5,600万円です。とはいえ、銀行などで住宅ローンを組むときは、年収のほか、年齢や勤め先、勤続年数といった属性や、借入額の返済負担率なども考慮して返済能力を審査するため、年収が多いほどたくさん借りられるとは限りません。
審査項目の中でも返済負担率を重視する金融機関は多く、国土交通省が住宅ローンを取り扱う民間の金融機関を対象に行った「平成30年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」でも、「融資を行う際に考慮する項目」において、返済負担率と答えたのは90.7%となっています。
返済負担率とは?
住宅ローンを組む上で重要とされる返済負担率とは、年収に占める年間の返済額の割合のことです。
多くの住宅ローンでは、返済負担率が35%に収まるように設定しています。返済負担率が高くなると返済できなくなる可能性も高まることから、無理なく返済できる目安として設定されている数値です。長期固定型金利の「フラット35」のように、年収400万円未満は30%以下、400万円を超える場合は35%以下と年収によって返済負担率の融資基準が異なることもあります。
返済負担率は住宅ローンを組む際のひとつの目安となるため、まずは希望の借入額が返済負担率35%以下で収まるか、確認してみましょう。
返済負担率の計算方法と注意点
返済負担率は、下記の計算式で求めることができます。
返済負担率=年間返済額÷年収×100
ただし、返済負担率を試算する際に、注意したい点が2つあります。
すべての借入れが対象になる
返済負担率の年間返済額は、住宅ローンだけでなく、カーローンや教育ローンなどすべての借入れが対象です。スマートフォンなどのモバイル端末の分割払いや奨学金の返済、クレジットカードのキャッシングなども含まれることがあります。 住宅ローン以外に借入れがある場合は、それらを合計した年間返済額で返済負担率を算出するようにしましょう。
審査は審査金利で行うことがある
住宅ローンは長期にわたるため、途中で金利が上昇しても返済できるかを確認するために、実際より高い金利で審査を行う金融機関もあります。 審査金利の利率はそれぞれですが、低金利時代である昨今は、3~4%あたりが多いようです。
年収500万円のケースで返済負担率を試算
返済負担率35%が実際にどのくらいなのか、年収500万円で、無理なく返済できる目安の最高額3,500万円を希望したケースを例に試算してみましょう。 なお、借入期間35年でボーナス返済なしの元利均等返済とします。
金利1.5%、借入れなしの場合
3,500万円を金利1.5%で借りた場合、月々の返済額は10万7,164円で、年間返済額は128万5,968円です。この場合、返済負担率は次のように求めます。
<返済負担率を求める計算式>
128万5,968円(年間返済額)÷500万(年収)×100=約25.7%
返済負担率は約25.7%になるので、審査基準はクリアできるだろうと判断できます。35%ぎりぎりまで借り入れたい場合は、借入希望額を1,000万円近くアップすることも可能です。
金利1.5%、借入れありの場合
すでに年間返済額60万円(月々5万円)の借入れがあると仮定した場合、年間返済額は、既存の借入れと住宅ローンを合算した188万5,968円になります。
<返済負担率を求める計算式>
188万5,968円(年間返済総額)÷500万(年収)×100=約37.7%
返済負担率は約37.7%となり、上限となる35%を超えてしまいます。このケースで返済負担率を35%以下に抑えるには、借入希望額を約3,000万円まで下げなければ審査は通りにくいと考えられます。
金利4%、借入れなしの場合
では、審査金利が4%だった場合はどうでしょうか。金利4%の住宅ローンの返済額は月々15万4,971円で、年間185万9,652円になります。
返済負担率を求める計算式:
185万9,652円(年間返済率)÷500万(年収)×100=約37.2%
この場合、返済負担率は約37.2%となるため、ほかに借入れがなくても、審査が厳しくなる可能性があります。なお、35%以下に抑えるには、借入希望額を3,200万円まで下げなくてはなりません。
このように、同じ年収でも、ほかの借入れや審査金利の利率次第で、借入可能な住宅ローンの上限額は大きく変わってきます。
なお、金融機関が設ける返済負担率の上限は35%ほどですが、マンションは管理費や修繕積立金、駐車場代なども必要になるので、住宅ローンの返済負担率は30%以下に抑えておくと安心です。
住宅ローンにおける2つの返済方法
住宅ローンを組む金額を検討する上で、返済負担率と併せて知っておきたいのが「元利均等返済」と「元金均等返済」という2つの返済方法です。これらは、元金と利息をどのような割合で返していくかを意味する返済方法で、どちらを選ぶかによって、月々の返済額や返済総額が変わってきます。
元利均等返済:毎月の返済額が一定で家計の管理がしやすい
元利均等返済は、元金と利息のバランスを調整して、毎月の返済額を一定にする返済方法です。
利息は残債(未払いの借入残高)に対して発生するので、返済を始めた当初は利息の割合が高く、元金の減りは遅くなります。そのため、返済総額は元金均等返済より高くなりますが、契約期間中の返済額が安定していることで、家計管理がしやすくなります。借入当初の返済負担率は元金均等返済よりも低く抑えられるため、審査のハードルも下がるでしょう。住宅ローンで一般的に用いられる返済方法です。
元金均等返済:返済が進むと毎月の返済額が減っていく
元金均等返済は、元金の返済額を一定にした上で、利息を上乗せする返済方法です。 残債が最も多い初回の返済は高額になりますが、元金がコンスタントに減っていくため、返済が進むにつれて利息が少なくなり、負担も軽くなっていきます。 そのため、元利均等返済に比べて返済総額は少なくなります。一方で、初年度の返済負担率が高くなることから、収入面における審査基準は厳しくなる傾向があります。
住宅ローンはライフプランを見据えることが大切
マンションは、人生の一大イベントともいえる大きな買い物です。
返済期間も長期に及ぶことから、途中でライフステージに変化があったり、不測の事態が起こったりする可能性も検討しておく必要があるでしょう。そのため、住宅ローンを組むときは、教育費などの大きな出費がある時期や、貯蓄目標なども踏まえた返済計画を立てることが大切です。
返済負担率を30%以下に抑えるほか、教育費などで今現在お金がかかっているなら元利均等返済、十数年後に大きな負担が来そうであれば元金均等返済にするなど、住宅ローンが日々の暮らしを圧迫することのないような借入れを行うことが大切です。
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