管理組合は法人化できる!法人化のメリット・デメリットと手続き方法

2020年10月23日

法人とは、組織や団体に対して法律上の人格(法人格)を認められた場合に使われる言葉です。マンションの管理組合は「人」ではありませんが、法人化することで、社会的なさまざまな手続きなどを法人主体で行うことができるようになります。
具体的にどのようなことができるようになるのか、マンションの管理組合を法人化することで得られるメリットとデメリットについてまとめました。

管理組合法人とは?

「法人化」というと、株式会社などを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、マンションの管理組合の法人化の場合、会社を設立するというわけではありません。

マンションの管理組合が法人化した場合は、「管理組合法人」という法人になります。管理組合法人は、株式会社や合同会社、社団法人などと同様に、法人格を持った存在です。マンションの管理組合以外の法人や個人が、管理組合法人を名乗ることはできません。

なお、法人化していないマンションの管理組合は、法律上の権利関係の主体になることができません。
例えば、法人化する前の管理組合の銀行口座は、「◯◯管理組合 理事長××」という名義で作ることになります。これは、管理組合名義での通帳が作れないためです。法人化して管理組合に法律上の人格が認められると、管理組合法人の名義で口座を開設できるようになります。

法人化している管理組合の割合

マンションの管理組合のうち、法人化しているところは全体の13.2%です(国土交通省「平成30年度マンション総合調査」より)。
築年数別では、古いマンションのほうが法人化している割合が高い傾向があり、昭和45~49年に建てられたマンションでは、41.1%が管理組合を法人化しています。長年、管理組合の運営をしていく中で、法人化にメリットを感じる事例が起こった可能性があるといえるでしょう。

管理組合が法人化しても仕事内容はほぼ変わらない

管理組合の仕事は、マンションの維持・管理をすることです。これは、管理組合が法人化した後も変わりません。また、管理組合が法人化したからといって、マンションに住んでいる区分所有者の人が持つ権利や役割が変わるわけでもありません。
細かい実務面を見れば、理事長の変更などが起こった場合の手続き方法などに違いがあったり、事務手続きが増えたりします。しかし、法人化していても、していなくても、管理組合の活動内容についてそれほど大きな違いはありません。

管理組合を法人化するメリット

管理組合の法人化は、絶対にしなければいけないということではありません。特に、現状に問題が出ていないのであれば、法人化する必要はない場合も多いでしょう。しかし、法人化したからこそ得られるメリットもあります。もし、現状の手続きに問題を感じている場合、法人化によって解決できる可能性もあるのです。
続いては、管理組合を法人化することで得られるメリットについてまとめました。

管理組合法人名義での登記が可能になる

管理組合を法人化することで、不動産などの登記をすることができるようになります。 例えば、管理組合が管理している駐車場が不足して近隣の駐車場を購入することになった場合、法人化していないと、管理組合の理事長名義で不動産登記を行うことになります(あるいは区分所有者全員の名義で行うことになりますが、これはあまり現実的ではありません)。

しかし、実際には理事長が保有しているわけではなく、管理組合が保有している不動産になりますから、実態とそぐわない形となってしまいます。そこで、実態に即して管理組合名義で登記を行いたいという場合に、法人化を検討することになります。

外部企業等との取引がスムーズになる

修繕積立金が不足している場合などに、管理組合が金融機関に対して融資を申し込むことがあります。このようなときに、管理組合として手続きを行う場合は、理事長名義で手続きを行うことになります。それよりも、人格のある管理組合法人としてのほうが、スムーズに取引を行えるケースがあります。
ほかにも、外部の企業と管理組合がやりとりを行う場合、法人化しているという点が一定の信頼につながる可能性もあるでしょう。

個人の財産と団体の財産がはっきり分けられる

管理組合を法人化していない場合、管理組合が保有する財産を理事長名義で保管しなければいけないケースが出てきます。しかし、管理組合の財産は理事長個人の所有物ではありませんから、理事長が変わるたびに名義変更をしなければなりません。

法人化し、管理法人組合名義で財産の管理ができるようになれば、個人の財産と管理組合が保有する財産を明確に分けられるようになります。管理組合法人名義になっていれば、理事長が変わるたびに名義変更を行う必要もありません。

理事長の負担軽減につながる

管理組合とマンション住民間で訴訟や調停トラブルがあった場合は、理事長が原告となって手続きを行うことになります。また、管理組合の預金口座なども理事長個人の印鑑を使い、理事長名で作成することになります。
このように、法律上の人格を持たない管理組合の場合、人格が必要な手続きを行う場合は、すべて理事長名義で行う形になります。これは、理事長にとって大きな負担につながるでしょう。

法人化すれば、訴訟や電話回線の設置、金融口座の開設などを管理組合法人名義で行うことができるようになります。

新たに課税されることはない

マンション管理組合法人は、法人税が非課税です。そのため、法人化することによって新たに税金が課せられる心配はありません。
なお、収益事業を営んでいる場合(マンション外の人に対して賃料を取って継続的に駐車場を貸し出す場合など)は課税されることがありますが、これは法人化していなかったとしても同様です。

管理組合を法人化するデメリット

管理組合の法人化には複数のメリットがありますが、デメリットも存在しています。どのような点に問題があるのかをまとめました。

登記手続き、変更手続きなどの費用がかかる場合がある

マンション管理組合の法人化を行う際、司法書士に手続きを依頼するのであれば、報酬を支払うことになります。また、管理組合の理事が変更になると、そのたびに変更登記をしなければなりません。この変更登記についても、司法書士に手続きを依頼する場合は報酬が発生します。
なお、手続きを管理組合で行うのであれば、登録免許税(登記のために必要な税金)はかかりません。

必要な事務手続きが増加する

管理組合法人では、法人として財産目録を作成したり、理事が変更になった際の変更登記を行ったりする必要があります。そのため、行わなければいけない事務手続きは、法人化する前よりも増加するといえるでしょう。

管理組合を法人化する方法

管理組合を法人化するための方法は、下記の3ステップとなります。

1. 管理組合による決議

管理組合を法人化するためには、マンションの区分所有者の4分の3以上が出席する総会で、議決権の4分の3以上の賛成を得る必要があります。

2. 要件の制定

総会の決議では、法人化する旨だけでなく、法人の名前も決める必要があります。管理組合法人という言葉を入れる必要があるため、「◯◯(マンション名)管理組合法人」もしくは「管理組合法人◯◯」となるのが一般的です。
また、管理組合法人の事務所と理事、監事についても同様に決定します。

3. 法務局での設立登記

決定事項をもとに、登記手続きを行います。登記手続きは、司法書士を通して行う場合もあります。その場合は、管理組合内で依頼する司法書士を決定の上、手続きを行います。

マンションの管理組合運営に問題を感じたら法人化を検討しよう

マンションの管理組合を運営していく上で、理事長の負担が大きすぎる点や、管理組合としての登記ができない点に問題を感じることもあるでしょう。
そのようなときは、マンション管理組合の法人化を検討してみてください。法人化することで法律上の人格を持てば、管理組合として行える業務の範囲が広がります。