マンションの24時間換気は必要?メリットと換気効率を上げる方法

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受け、室内換気が注目されています。そこで役立つのが、室内を換気するために常に稼働している「24時間換気システム」です。しかし、「止めてはいけないのか?」「止めたらどうなるのか?」など、疑問を持っている方もいるでしょう。
ここでは、24時間換気システムがどういうものなのか、メリットと効果的な使い方をまとめました。

3つの密を避けるための24時間換気システム

新型コロナウイルスの感染を防ぐため、3つの密を避けて「ゼロ密」を目指すよう、厚生労働省から通達がありました。3つの密とは、「密閉空間」「密集場所」「密接場面」を表しています。

密集場所や密接場面は、外出自粛や在宅ワークの実施、休校・休園などである程度避けられますが、自宅で過ごすことが多い今、密閉空間を避けるのは難しいでしょう。最近の住宅は、マンションと戸建てを問わず気密性が高く、放っておくと汚れた空気が部屋の中に溜まってしまいます。
定期的な換気が推奨されていますが、窓を開ける換気は室温が下がったり、花粉が侵入したりといった問題があります。また、「エアコンを稼働させているから換気できている」と考えている方もいるようですが、エアコンは外から取り入れた空気の温度を調整し、室内に運んでいます。一部、換気機能付きのエアコンもありますが、多くは稼働させても室内の空気の入れ替えができる物ではないのです。

24時間換気システムがしていることは、基本的に窓を開ける換気と同様です。部屋の中に作られた換気口から外の空気を室内に取り込んで、天井の排気口から外に出すというのが24時間換気システムの働きです。
このシステムを稼働させておくことによって、部屋の中の空気が停滞することなく、常に入れ替えられるのです。
24時間換気システムがあれば、通常、2時間で室内の空気を入れ替えできるため、いちいち窓を開ける必要がなく、手軽に密閉空間を避けることができます。24時間換気システムを正しく使い、安全で快適な暮らしを目指しましょう。

3種類の換気システム

24時間換気システムは、換気の方法によって3つの種類に分けることができます。24時間換気システムの種類ごとのしくみを見ていきましょう。

第1種換気方式

第1種換気方式は、外の空気を室内に取り入れる吸気口と、室内の空気を外に排出する排気口の両方を、機械で管理する方法です。吸気と排気の両方を機械で管理する分、設置コストは高くなりますが、安定した換気が可能というメリットがあります。また、熱交換システムを導入することで、給気口から入ってくる外気を室内の温度に近付けることができ、24時間換気による室内温度の上昇や低下を防ぐこともできます。
一方、清掃を業者に頼まなければならない場合があったり、修理コストが高くなったりといったデメリットもあります。

第2種換気方式

第2種換気方式は、空気を室内に入れる吸気口のみ、機械で管理する換気方法です。外から機械で空気を室内に入れると、その分室内の気圧が高くなりますから、自然と外へ出ようとする力が働きます。この力を利用して、自然に排気口から空気を出すことができるのです。
ただし、特別な密閉設備があるわけではない一般的なマンションでは、利用されることはあまりありません。無菌室など、特別な設備が使用されている場所で使われる方式です。

第3種換気方式

第3種換気方式は、第2種換気方式とは反対に、排気側のみを機械制御する方法で、最も採用されている換気方式です。機械で強制的に排気することによって、自然と室内に開けられた吸気口から外気が取り入れられることになります。第1種換気方式よりコストが低く、結露も起こりにくいため、メリットが大きいといえるでしょう。
すべての部屋の換気をするためには、全室に吸気口を設けなければなりません。しかし、設置した場合は、それだけ外の空気が入りやすくなり、室温低下の原因になるというデメリットもあります。

24時間換気システムは法律で定められた義務

2003年7月に施行された改正建築基準法によって、シックハウス症候群の原因となる化学物質に対し規制が強化されました。24時間換気システムも、このときに設置が義務付けられたものです。そのため、2003年7月以降に建てられたマンションには、すべて24時間換気システムが設置されています。

法律の施行前は、「ついている」ことが設備面での売り文句になることもあった24時間換気システムですが、施行後は「あって当たり前」のものになったといえるでしょう。改正建築基準法では、建材に含まれるホルムアルデヒドの濃度についても規制が行われたため、建材の安全性も高まりました。そのため、シックハウス症候群を引き起こす要因自体も、施行後はかなり少なくなっています。

24時間換気システムのメリット

24時間換気システムを導入するメリットは、大きく次の2つが挙げられます。

空気の入れ替えができる

シックハウス症候群対策という面ももちろんありますが、前述のとおり、そもそもマンションにおける建材の安全性は高まっています。「24時間換気システムがなければシックハウス症候群になってしまう!」という心配は、それほど必要ないでしょう。

ただし、室内の空気の入れ替えは、シックハウス症候群対策だけのためにするものではありません。新型コロナウイルスの感染防止対策はもちろん、空気中の二酸化炭素濃度を下げる、室内ににおいがこもるのを防ぐ、ダニの発生を防ぐといった意味でも、空気の入れ替えにはメリットがあります。

人々のライフスタイルが変化していく中で、「24時間、誰かが家にいる」という家庭は少なくなり、「日中は家に誰もいない」という家庭が珍しくなくなりました。また、住宅の密閉性も、以前に比べると各段に高くなっています。
こうしたことから、住んでいる人が都度換気を行うのではなく、機械で自動的に換気を行うシステムを導入・利用することは、理にかなったことだといえるのではないでしょうか。

結露を防止する

24時間換気システムを利用する実質的なメリットとして、一番実感しやすいのは結露の防止かもしれません。人が暮らす室内には、どうしても湿気が溜まっていきます。結露は、こうした湿気が家の外に排出されず、室内にとどまることによって起こるのです。

とはいえ、「24時間換気を回していても結露が出る」という部屋もあるかもしれません。間取りや部屋の向き、階数によっても、結露が出やすいかどうかは変わってきます。地面に接している1階の部屋は結露の発生リスクが高くなってしまいますし、日があたらない場所も結露が起こりやすくなります。また、開放型暖房機や二重サッシといった設備によって、結露の出方が変わることもあります。

1階や北向きなど、悪条件が重なっているマンションの部屋では、24時間換気システムを回していても、結露が防止できないことがあります。だからといって、「意味がないから止めてしまおう」というのはおすすめできません。たとえ24時間換気だけでは対処しきれなかったとしても、稼働しているかいないかで室内の湿度が変わってくるからです。

24時間換気システムを作動させているのに結露してしまう場合は、別途対策が必要です。定期的に部屋の窓を開けて湿気を含んだ空気を逃がしたり、シューズボックスのような湿気が溜まりやすい場所を定期的に開けっ放しにしたりといった対策をとりましょう。乾燥剤や除湿器を利用するのもおすすめです。

24時間換気システムのトラブルと解決法

24時間換気システムを利用する上で、起こりやすいトラブルや気になる点について、それぞれ解決法をご紹介します。

電気代が心配

そもそも、24時間換気システムの稼働に、それほど電気代がかかることはありません。部屋の広さにもよりますが、1ヵ月の電気代は数十円から数百円程度です。

音がうるさい

24時間換気システムの種類によっては、風量調整ができる場合もあります。音が気になる場合は風量を弱めてみましょう。
また、フィルターが汚れていると換気効率が悪くなり、余計にモーターが稼働してうるさく感じることがあります。音がうるさい場合は、一度フィルターの汚れを確認してみることをおすすめします。

つけていると寒い

24時間換気システムが原因による寒さは、音の問題と同様、風量を弱めることで対処できることもあります。また、換気口から出る風の向きを変えて、直接風があたらないようにすると、寒さがやわらぐでしょう。換気口自体を変える方法もありますが、換気口の下側に紙や布などを貼って、空気の流れを変えるという手軽な方法もあります。

においが気になる

においは、フィルターが汚れていることによって発生します。24時間換気システムのフィルターは、こまめにお手入れしてください。周辺環境や24時間換気システムの種類にもよりますが、1年に4~5回程度は掃除をするといいでしょう。

換気がうまくできていない気がする

24時間換気システムのフィルターが汚れていることで、換気効率が下がっている可能性があります。そのような場合は、換気口の掃除をしてみてください。フィルターは、約6ヵ月で汚れて性能が劣化するといわれており、こまめな交換が必要です。
また、閉じることのできるタイプの換気口の場合、換気口が閉まっている可能性もあります。換気口が開いているかどうかチェックしてみましょう。

掃除の仕方がわからない

24時間換気システムの清掃方法は、取扱説明書に記載されています。基本的には、説明書に沿って掃除をしましょう。多くの場合は、カバーを外して中のフィルターを洗ったり、交換したりします。カバー自体も取り外して洗ったり、汚れをふき取ったりして、清潔さを保つようにしてください。

故障した

異音が聞こえたり、動かなくなったりした場合は、故障の可能性があるでしょう。24時間換気システムのモーターの寿命は、使用方法や周辺環境にもよりますが、電気用品安全法では9年程度とされています。フィルター掃除のほかに定期的にモーターもチェックし、故障してしまったときは、そのままにせず修理するようにしてください。

24時間換気システムがついていることによるマンション価格の変動は?

24時間換気システムの有無によって、マンションの価格や売れやすさに影響することはほとんどありません。設置が義務付けられたのが2003年ですが、設置されていないマンションが値下がりしたり売れにくかったりする場合、単純に築年数などそのほかの要因のほうが大きいでしょう。

そのため、24時間換気システムがついていないマンションの価値を上げるために、後から設置する必要はありません。それなりに大掛かりな工事が必要になってしまいますので、その分の予算があるなら、別のところに手をかけたほうがいいでしょう。
ただし、現在住んでいるマンションや検討しているマンションの結露に悩んでいるという場合には、24時間換気システムの導入を検討してみてもいいかもしれません。

一方で、将来的なマンションの価値を考えるのであれば、24時間換気システムを利用し、適切に換気を行うことは建物を長持ちさせることに役立ちます。適切な換気を行ってカビや結露を防ぐことで、マンションの劣化を防ぐことにつながるからです。

24時間換気はマンションに快適に住み続けるために役立っている

普段はあまり効果を実感したり、意識したりすることが少ない24時間換気システムですが、室内の結露を防ぎ、空気の入れ替えをすることに役立っています。新型コロナウイルスの感染防止対策でも、密閉空間を避けるために換気が重要とされています。24時間換気システムを止めたからといって、ただちに何か問題が起こるというものではありませんが、常に稼働させておくことをおすすめします。

長く、快適にマンションに住み続けるためにも、24時間換気システムとうまく付き合っていきましょう。また、ついつい忘れてしまいがちな場所ですが、年に4~5回程度はお手入れをするように心掛けてください。