「不動産投資をすると節税できる」といわれることがありますが、いったいどうして投資が節税につながるのでしょうか。
不動産を取得すると、不動産取得税や固定資産税といった税金を支払わなければならなくなります。それなのに「節税対策に不動産投資」といわれることがある理由と、実際に節税になるのかについて解説します。
不動産投資は節税対策としても有効?節税できるケースと注意点
- マンションバリューマガジン編集部
- 株式会社マーキュリー
不動産投資とは?
不動産投資とは、不動産を購入して、賃貸料や売却益を得るというものです。実際に不動産投資に利用される投資物件には、次のようなものがあります。
<おもな不動産投資物件>
・新築マンション
・中古マンション
・アパート
・一戸建て
・駐車場
・土地
マンションやアパートなどの集合住宅の場合、1棟まるごと購入して貸し出すのか、1部屋を購入して貸し出すのかという違いや、ワンルームタイプかファミリータイプかといった違いがあります。また、すでにあるマンションやアパートを購入するケースだけではなく、元々持っていた土地に新たにアパートや駐車場を作って貸し出すという不動産投資もあります。このような投資は、空き地の有効活用法としても注目されています。
一方、貸し出すのではなく、購入時よりも高い金額で売ることによる売却益を得るという不動産投資もあります。とはいえ、個人投資家の場合、売却益で利益を得るケースよりも、賃貸に出して継続的な収入を得ることを目指すケースが多いでしょう。
なぜ不動産投資が節税に?
なぜ、不動産投資が節税につながるといわれるのでしょうか。具体的なケースを見ていきましょう。
赤字経営で所得税や住民税を軽減できる
不動産投資は莫大な初期費用がかかる方法です。不動産の購入には、数千万~数億円という多額の費用が必要になることも珍しくありません。それに加えて、管理費や不動産仲介会社へ支払う手数料、住宅ローンを組んだ際の利子など、かかる経費は膨大です。
これらの経費の合計が、不動産投資によって得られた収入を上回った場合、そのほかの所得と損益通算をすることができます。つまり、「不動産投資によってできた赤字を、それ以外の所得から差し引いて税金の計算ができる」ということです。これにより、所得税や住民税を軽減させられるというのが、不動産投資が節税になるひとつのポイントです。しかし、これは不動産投資が赤字経営でないと成り立たない方法なので、「不動産投資で月々の家賃収入を得たい」と考えている方にとっては、メリットにならない可能性が高いでしょう。
なお、毎月赤字になっていたとしても、最終的に不動産という現物を手に入れられるため、投資自体が失敗しているとは一概にはいえません。
現金より不動産のほうが相続税や贈与税が軽減される
不動産投資が節税になるもうひとつのポイントが、相続税や贈与税の節税ができるケースがある点です。現金を相続・贈与した場合に比べ、不動産を相続・贈与した場合は評価額が軽減されるため、かかる税金を低く抑えることができるのです。「3,000万円の現金を相続・贈与するよりも、3,000万円で購入した不動産を相続・贈与するほうが税金は少なくて済む」ということですね。
ただし、不動産を受け取った場合、現金贈与に比べて相続税や贈与税の税額を下げられる一方で、納税は現金で行う点に注意が必要です。納税に必要な現金を別途用意しなければ、結局、税金に苦労することになってしまいます。
特に贈与税の場合、控除額が相続税に比べて少なくなっていますから、高額な不動産を贈与した場合、結局は多額の税金を納めることになる可能性もあります。総合的に見て本当にメリットがあるのかどうか、また、贈与する不動産の収益性がどのくらいあるのかといった点についても考えておく必要があるでしょう。
節税目的での不動産投資は危険?
節税だけを目的に不動産投資に手を出すと、思わぬトラブルに直面するおそれがあります。不動産投資を行うときは、リスクについても理解しておかなければいけません。
ここでは、不動産投資の中でも、マンション・アパート投資について、想定されるリスクをいくつかご紹介します。
空室リスク
マンション投資は、保有している部屋の家賃によって利益を得るというものです。そのため、入居者がいなければ一切の利益を受けられず、経費ばかりがかさんでいくことになります。ここに、不動産投資の大きなリスクがあります。
利回りのいい物件や広くて安い物件など、「条件が良く、投資に向いている」と思われる物件でも、借り手がいなければ1円も回収することはできません。空室リスクをゼロにするのは難しいことですが、購入する物件の立地や設備、管理体制、該当エリアの住人数の推移などをチェックして、できる限りリスクを低減させるようにしましょう。
家賃低下リスク
空室が続いてしまう原因はいくつかありますが、その中のひとつに「ほかの物件に比べて家賃が高い」ということがあります。家賃が安ければ、多少条件が悪くても借り手がつくこともあるでしょう。空室リスクに比べれば、家賃を下げてでも入居者を募ったほうがいいのは当然のことです。しかし、家賃が低下してしまえば、当初予定した利回りが実現できなくなり、支出ばかりが大きくなるおそれがあります。
不動産投資で、「一括借り上げ」をウリにする不動産会社もいます。これは、不動産会社が投資用の部屋を借り上げることで、オーナーの空室リスクをなくすことができるという方法です。一括借り上げしてもらえば、確かに空室リスクはなくなります。しかし、借り手がいなければ、その分借り上げ額をどんどん下げられてしまうという側面があることに注意しなければなりません。そうなれば、結局、当初予定していた利益を得られなくなってしまうでしょう。
経年劣化や災害等の修繕費用
不動産は、築年数を重ねただけ劣化します。賃貸用不動産の場合、経年劣化による内装の不具合や設備の故障などは、貸主負担で修繕しなければいけません。また、修繕積立金を払っているとはいえ、大規模修繕に際して費用が足りなければ、一時金を支払わなければならなくなる可能性もあります。
さらに、災害によって物件の設備が破損した場合なども修繕が必要になります。あらかじめ災害に強い不動産を選択したり、災害に備えるための保険に加入したりしてリスクに備えましょう。
デッドクロス
デッドクロスとは、不動産投資において「減価償却費を住宅ローンの元金返済が上回るポイント」のことです。
不動産投資の支出を経費として計上すると、利益が少なくなって課税対象所得も少なくなるため、節税の効果があります。ただし、経費として計上できるのは住宅ローンの利子だけで、元金返済分は経費になりません。その代わり、不動産を購入した際の購入費用を、減価償却費として毎年計上することができます。
ところが、住宅ローンを元利均等返済で借りた場合、元金返済額は年を経るごとに増加していきます。これによって、減価償却費の金額よりも元金返済の金額が大きくなると所得税が増え、資金繰りが悪くなるという問題が起こります。
特に、減価償却の年数が少ない木造アパートなどの場合、住宅ローンが残っているのに減価償却が終わってしまうこともあります。アパート投資をする際は、デッドクロスにも注意しておくべきでしょう。
不動産投資で節税できる税金とできない税金
節税目的での不動産投資は、簡単ではないことをご説明してきましたが、まったく節税効果がないわけではありません。最後に、不動産投資で節税できる税金と、できない税金についてまとめました。
・所得税と住民税
所得税と住民税は、赤字経営の場合、節税することができます。黒字経営の場合は、その分所得税と住民税を多く支払うことになります。
・相続税と贈与税
相続税と贈与税は、不動産投資で節税することができますが、納税は現金で行わなければなりません。節税がメリットになるかを考えた上で、不動産投資を考えましょう。
・不動産取得税と固定資産税
不動産取得税と固定資産税は、不動産を持つことで新たにかかる税金です。
不動産投資は節税対策になる部分もあるが節税のためだけに利用するのは危険
不動産投資は、必ず儲かるというものではありません。そのため、節税対策になるからといって、無闇に不動産投資を行うことは危険です。
また、節税についても、本当にメリットがあるのかどうか、自分と家族の状況を考えた上で判断する必要があるでしょう。不動産投資を行うときは、節税対策以外の部分についてもしっかり目を向けることが大切です。
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