資金計画書を作れば安心!マンション購入費用の考え方

マンションの価格は、数千万円になることも珍しくありません。そんな、マンション購入の資金調達方法として最も一般的なのは、住宅ローンでしょう。
住宅ローンは、長期にわたって付き合わなくてはならない高額な契約です。トラブルなく返済するためには、十分な資金計画を立てておかなければいけません。
そこで、マンション購入の際の資金計画の考え方や、資金計画書の作り方についてご説明します。

資金計画は3つに分けられる

マンションを購入する際の資金計画は、「予算はいくらか」「いつ、誰に支払うのか」「住宅ローン返済中に起こるライフイベント」の3つに分けることができます。具体的に見ていきましょう。

予算はいくらか

資金計画を考えるとき、まず、予算について検討する人が多いかもしれません。実際に、無理なく買えるマンションの金額がいくらなのかを検討しておくことはとても大切です。
マンション購入の予算を考えるときは、総額ではなく、次の3つの種類別に金額を算出しましょう。

・贈与を受けるお金

贈与を受けるお金については、両親や親戚などの状況や考え方によって決まるものですから、自分たちの都合で予算が左右されることはないでしょう。贈与を受けられるか、受けられる場合いくらくらいかを確認しておきます。

・預貯金から捻出するお金

預貯金から捻出するお金は、預貯金の中から、教育資金や当座の生活費、生活防衛費など、利用すべきではないお金を差し引くことで、使える金額がわかります。いくら残しておくべきかは、それぞれの家庭の状況や家族構成、ライフプランなどによって異なりますが、最低でも半年分の生活費程度は、確保しておく必要があるでしょう。

・住宅ローンで借りるお金

住宅ローンの借入額を考えるとき、「借りられる金額」と「返せる金額」は、必ずしも同一ではないことを意識しておきましょう。不動産業者が、「みんなこのくらい借りていますよ」「◯◯万円までなら審査に通りますよ」と言ったとしても、本当に自分たちがその金額を返せるかについて、別途検討しなければいけません。

いくら返せるのかは各家庭の支出状況によって異なりますが、おおよそ手取りの3割程度が住宅にかけられる金額の目安といわれています。そのため、ここから固定資産税や修繕積立金、管理費などを差し引いた金額が、月々の住宅ローン返済額の目安になるでしょう。
月々の返済額の目安がわかったら、住宅ローンの借入期間を定めて、いくら借りられるのかシミュレーションします。不動産会社や金融機関でもできますし、インターネット上で計算することもできます。

いつ、誰に支払うのか

マンションの購入にかかる費用は、引き渡し時に全額を一括で支払うわけではありません。いつ、誰に、いくら支払わなければならないのかをあらかじめ整理しておかないと、「手元にお金がなくて支払えない!」という事態になってしまいます。

売買契約時、ローン締結時、物件引き渡し時に、それぞれどのような内訳でいくら用意しなければいけないのか、あらかじめ確認しておきましょう。手付金など、原則現金で支払わなければならない費用もあるため、いつまでにいくら必要なのかも合わせて確認しておく必要があります。

中古住宅を購入してリフォームを行う場合は、さらに複雑です。物件の購入代金とリフォーム工事代金を別々のタイミングで、別々の業者に支払うことになるからです。スケジュールをしっかり確認しておきましょう。

■マンション購入に関する費用 

タイミング 必要な費用
売買契約時 手付金
ローン契約・引き渡し時 物件代金・諸費用
入居時 引越し費用、家具・家電の購入費用
その後 固定資産税、修繕積立金、管理費

住宅ローン返済中に起こるライフイベント

住宅ローンは、一般的に数十年にわたって返し続けることになるものです。そのため、現在の家計状況だけを判断材料にして資金計画を立ててしまうと、将来、返済が滞ってしまうおそれがあります。

無理なく返済するためには、家族のライフプラン表を作成し、住宅ローンの完済までの道筋を確認してみることをおすすめします。住宅購入から完済までのあいだにある、家族のイベントをチェックしてみることで、いつ、どのくらい大きな支出があるのかが見えてきます。

車の買い替えや海外旅行、子供の進学、結婚、大型家電の買い替えなど、高額な支出予定と、収入推移の予測を一覧にします。どのくらいなら資金繰りに問題が出ることなく、住宅ローンを返していけるのかを検討しておけば、安心して返済をスタートできます。

資金計画を立てるポイント

資金計画のうち、「いつ、誰に支払うのか」と「住宅ローン完済までのライフイベント」は、どの家庭でも情報さえそろえば、簡単に作ることができます。しかし、予算はそう簡単には決まりません。今ある手持ち資金や贈与は確認できても、適切な住宅ローンの組み方は、なかなか正解を見つけにくいからです。
そこで、住宅ローンの借入額を考えるときのポイントになる、3つの要素についてご説明します。

1 返済可能額(借入額)

無理なく返済できる金額は、先程ご説明したとおり、手取り金額の3割程度が目安といわれています。
このほかに、「現在の家賃」と「マンション購入のためにしている貯金」の合計額を目安にする方法もあります。毎月支払っている家賃と、マンション購入の頭金にするために毎月貯金しているお金の合計は、「今現在の住居費」と考えることができます。そのため、この金額であれば、それほど無理なく支払うことができると考えられるからです。

ただし、家賃は絶対に支出する金額ですが、貯金は「家のため」と思っていても、ほかに流用することができるお金です。全額を「支払い可能な額」と考えてしまうと、後々資金繰りに困る可能性もありますから、より安全な形をとるのであれば、現在の家賃と同等の返済額にしておくのが安心でしょう。

さらに、将来の金利の上昇や修繕積立金・管理費の値上げなどに対応できるかどうかについても考えておく必要があります。10年、20年、30年後の支払額と年収見込を考えて、余裕を持った借入額を設定しましょう。

2 金利タイプ

住宅ローンの金利には、市場の金利動向に沿って金利が見直される「変動金利」と、一定期間金利が変わらない「固定金利」の2つがあります。また、固定金利には、当初の一定期間のみ固定で、その後は変動にするか固定にするかを改めて決めるタイプと、借り入れたときから完済まで金利が変わらない全期間固定のタイプがあります。

・変動金利

今のところ、あらゆる金利タイプの中で、最も低金利で借りられるのが変動金利です。変動金利で借りた住宅ローンは、半年に1回金利が見直されますが、実際の返済額がただちに変わるわけではありません。

変動金利のうち「元利均等返済」の場合は、金利が上がっても5年間は返済額が変わらないことが一般的です。また、金利が上がった場合でも、元の返済額の1.25倍までが上限というルールがあります。
一見すると、返済額が一気に上がらないため、ありがたい制度のようにも見えますが、金利の分だけ支払う利息が増え、元金が減らないというリスクもはらんでいます。

・固定金利

一定期間だけの当初固定金利と、全期間を固定金利で支払うのでは、全期間を固定金利で支払うほうが、金利は高くなる傾向があります。そのため、固定金利の期間に繰り上げ返済の資金が用意できる人や、固定金利期間の後に収入が増える見込みがある人は、当初固定を選択すると、金利負担を抑えられるでしょう。
一方、住宅ローン完済まで支払額を一定に保ち、計画的に返済したいという場合や、将来金利が上がると予想している場合は、全期間固定を選ぶことになります。

3 返済期間

住宅ローンの返済期間は、自分自身のライフプランや借入希望金額に合わせて選びます。とはいえ、40歳で35年ローンを組むとなると、完済時の年齢は75歳。65歳定年の場合、定年後の10年間の返済を問題なく行えるかという、大きな問題にぶつかることになるでしょう。
会社の定年から現在の年齢を差し引いて考えると安心できますが、それでは借りられる金額が低すぎるということもあるでしょう。また、月々の返済負担が大きくなりすぎるおそれもあります。

返済期間は、後から繰り上げ返済で圧縮することもできますが、延ばすことはなかなかできません。そのため、資金にある程度余裕があったとしても、長めの期間で借りておくという人もいます。
「そうしないと借りられないから」という後ろ向きな理由で無謀な長期間ローンを組むのと、「万が一に備えるために返済額を抑えて繰り上げ返済をする」という理由で長期間ローンを組むのでは、大きな違いがあります。家族のライフプランと資金計画に基づいて、無理のない借入計画を立てることが大切です。

住宅ローンの借入可能額は、「返済可能額」「金利タイプ」「返済期間」、すべての条件が出揃って初めて決まります。反対に、「もっとたくさん借りたい」という場合は、これらのどれかを見直すことで、借入額を増やせる可能性もあります。頭金や利息、将来のことなどを考えて検討しましょう。

資金計画書を作ってみる

マンション購入のための資金計画は、いろいろな要素を考えて立てなければいけません。頭の中だけで考えていると、よくわからなくなってしまうこともありますし、後から見返せないというのも不便です。そこで、資金計画書を作ってみることをおすすめします。
マンションの資金計画書は、自分でExcelやノートなどを利用して作ることもできます。ウェブサイトなどから無料でダウンロードできる、ライフプラン表や住宅ローン返済プランシートなどを利用するのも良いでしょう。

資金計画書を作るときは、諸費用を含んだマンション購入にかかる総額と、毎月の住宅ローン支払額、管理費や修繕積立金、駐車場代、固定資産税などの定期的な支出の額、そのほかの生活費の見積もり額、収入の目安額、貯蓄残高と住宅ローン残高の推移など、収入と支払うべき費用が一覧でわかるようにしておきましょう。

住宅ローンに関する資金計画書は、不動産会社や銀行で作成してもらうこともできます。これをベースに、自分たちのライフプランを書き込むことでも、長い目で見た資金計画をチェックすることができるでしょう。
ただし、銀行や不動産会社が作成する資金計画書は、金利の上昇が考慮されていなかったり、修繕積立金などが記載されていなかったりと、余裕があるように見せる作り方をされている可能性があります。鵜呑みにするのではなく、自分の目で抜けがないかどうか確認し、不測の事態に耐えられる、本当に余裕を持った資金計画を立てることが大切です。

資金計画はマンションに安心して住み続けるためにも大切!

資金計画は、マンション購入時の住宅ローン審査に通るためや、頭金の用意をするために作るものではありません。長期的な返済を滞りなく行い、安心してマンションに住み続けるために必要なものです。
将来のライフスタイルの変化や働き方の変化などによって返済が滞ることがないよう、最初の段階で十分に計画を練っておきましょう。