不動産投資とREITはどう違う?不動産で資産運用する2つの方法

2020年05月28日

「不動産に投資して利益を得ている人」といったときに、多くの人がイメージするのは、不動産を複数保有し、毎月家賃収入を手にしている人のことでしょう。しかし、不動産で収入を得る方法は、不動産を購入することだけではありません。
ここでは、直接不動産を購入して運用し利益を得る不動産投資と、もうひとつの方法である不動産投資信託「REIT(リート)」について紹介しましょう。

不動産投資とは?

従来の「不動産投資」は、不動産という資産を購入して、それを運用することで利益を得る手法です。
利益を得る方法は、「購入した不動産を購入時よりも高い価格で売却する」か、「購入した不動産を賃貸に出して賃貸料を得る」のどちらかです。また、「一定期間購入した不動産を賃貸に出した後、売却する」という、両方を合わせた方法で利益を得ることもできます。

例えば、3,000万円で購入したマンションを5年間家賃12万円で貸し出した場合、年間144万円、720万円の賃貸料が手に入ります。そして、5年後の売却額が2,800万円に値下がりしたとしても、賃貸料と合わせて3,520万円となり、520万円の差益が生まれます。保有している期間の管理費や修繕積立金、固定資産税などの経費を差し引いたとしても、数百万円の利益を生み出せるでしょう。

しかし、不動産投資は必ず儲かるという保証はありません。不動産投資を利用するメリットとデメリットを見てみましょう。

不動産投資のメリット

不動産投資のメリットには、不動産投資ローンや団体信用生命保険への加入など、不動産購入に関する複数のサービスを利用できる点や、自身の手元に不動産という現物の財産が残る点などが挙げられます。具体的に見てみましょう。

・ローンが利用できる

不動産投資用のローンは、自分が住むための住宅を購入する際に利用できる、いわゆる「住宅ローン」とは別で、「不動産投資ローン」や「アパートローン」といった名称で提供されています。住宅ローンより金利は高めに設定されているものの、フリーローンなどと比べると格段に低金利で多額の資金を借り入れることができます。

ローンを組んで投資を行うという点について、デメリットやリスクと考える人もいるかもしれません。しかし、「少ない元手で多額の投資を行える」というのはメリットととらえることもできます。
投資をするためには、ある程度まとまった資金が必要になるというのが通常ですが、不動産投資の場合、その人の年収や属性によっては、元手をあまりかけずに投資を行い、ローンの返済や管理費、修繕積立金をすべて家賃収入で相殺した上で、利益を出すことも可能なのです。

そのため、たとえ不動産を購入できるだけのキャッシュを保有している人でも、あえてローンを組んで不動産投資を行うというケースもあります。ローンを組むことをリスクととらえるのではなく、手元に自由に使える現金を残したまま投資をする手法として捉えることで、不動産投資ローンに対する考え方は180°変わるでしょう。

・税金対策ができる

ローンを組んで、手持ちのキャッシュを減らさずに購入した場合でも、住宅を購入すれば、その費用は「経費」とみなすことができます。また、管理費や修繕積立金、入居者を募集するための広告費、住宅ローンの金利手数料、不動産関連の図書費なども、すべて経費として計上できます。このような経費を積み上げていけば、課税所得額を圧縮することができるでしょう。

さらに、不動産売買や賃貸を事業として営む法人を設立したり、相続税対策として不動産を利用したりすることも可能です。

・団体信用生命保険に加入できる

不動産投資ローンを組む際は、通常の住宅ローンを組むときと同様に、団体信用生命保険に加入できる場合が多くなっています(保険への加入は任意の場合と、強制加入の場合があります。詳細は、ローンを提供している金融機関によって異なります)。

団体信用生命保険に加入すると、万が一ローンを組んでいる人が亡くなった場合や、高度障害状態に陥ったときに、ローン残高の返済が免除されます。団体信用生命保険によって残された家族を借金から守りつつ、投資用不動産という大きな資産を遺すことができるのです。

・インフレに強い

物価は、時代によって大きく変化していきます。昭和初期の100円と今の100円では、価値がまったく違います。これと同じことが、今後も起こる可能性は十分あるでしょう。その点、不動産は物価の変動とともに価値が変動します。つまり、売却するときの物価に合わせて売却できるため、インフレに強いといわれています。

・不動産という現物資産を手に入れられる

株式や債券、仮想通貨といった投資は、ある日突然価値がゼロになってしまうというリスクを多少なりともはらんでいます。しかし、不動産投資の場合は、「不動産」という形ある資産を手に入れることができます。信用によって取引されるものではなく、現物資産を手に入れられるという点も、不動産投資の魅力のひとつだといえるでしょう。

不動産投資のデメリット

多くのメリットがある不動産投資ですが、リスク面や流動性についてのデメリットもあります。

・流動性が良くない

保有している不動産は、売却しようとしても即日現金化できるわけではありません。
売りに出してから実際に現金を手にできるまでに、最低でも1ヵ月程度はかかるでしょう。また、ニーズが低い不動産を手放したい場合は、半年~数年という、長期間をかけて売却先を探さなければいけないこともあります。

・現物ゆえのリスクがある

不動産投資のメリットとして、「現物が手に入る」という点を挙げましたが、現物があるということは、災害等でそれが損なわれるリスクをはらんでいるということでもあります。
また、ローンについてもメリットとして挙げていますが、将来大幅に金利上昇が起こった場合、家賃収入に対して返済額の負担が大きくなってしまったり、元本がなかなか減らなくなったりといった問題が発生する可能性があります。

しかし、不動産投資の一番のリスクは、災害でも金利上昇でもなく、「空室」です。
いくら利回りがいい物件でも、空室になってしまえば1円も利益を上げることができません。こうなれば、投資は失敗に終わってしまうことでしょう。

・固定コストがかかる

不動産は保有しているだけで、修繕費、管理費、固定資産税といったコストがかかります。
これは、入居者が見つからずに空室になっている期間や、売却先を探している期間も継続してかかり続けます。不動産を保有していることで、利益を上げるどころか、出費ばかりが増えてしまう可能性もあるのです。

REITとは?

REITとは、「不動産投資信託」を表す言葉です。これは、1960年代にアメリカで誕生した金融商品で、日本では2001年から導入されました。日本におけるREITは「投資信託及び投資法人に関する法律」にもとづいており、アメリカのREITとは異なる部分があるため、区別する場合に「J-REIT」とも呼ばれます。

REITでは、投資家から不動産投資法人が資金を集め、投資家に代わってオフィスや商業ビル、マンションなどを購入して不動産投資を行います。そして投資家は、不動産投資法人の投資結果に応じた分配金を受け取ることで利益を得ます。また、REITは株式のように売却することもできます。

個人で不動産を買うのではなく、不動産の運用自体は不動産投資法人に任せるのがREITの特徴です。
それでは、REITのメリットとデメリットを見てみましょう。

REITのメリット

REITの大きなメリットとして、高い分配率とある程度のリスク対策ができる点が挙げられます。

・内部留保がほとんどなく、90%以上が分配される

REITでは、株式の配当金に該当する「分配金」を受け取ることで投資家は利益を得られます。
一般的に、株式における配当金は、企業が得た利益の一部のみで、残りは企業に内部留保されます。ところがREITの場合、利益の90%超が分配金に回されます。これは、日本におけるREITが不動産投資法人によって運営されているためです。
不動産投資法人は、利益の90%超を分配するなど、一定の条件を満たすことで法人税が課税されません。そのため、日本におけるREITは、高い分配金を得られる可能性が高いのです。

・分散投資なのでリスクが低め

不動産投資では、個人で1棟(あるいは1部屋)の不動産を購入して運用することで利益を得ます。
一方のREITは、不動産投資法人が複数の投資家から集めた資金を元に、複数の不動産に投資を行います。
つまりREITでは、利益を1棟(あるいは1部屋)の不動産に頼ることがないのです。これなら、空室リスクや災害リスクにも備えやすいでしょう。 REITを利用することで、複数の不動産に分散投資をした場合と同じメリットが得られるのです。

・少額から投資が可能

不動産投資は、不動産を直接購入するため、数百万~数億円という多額の資金がなければ行うことができません。ローンを利用した場合、手持ち資金は少なくても投資が可能ですが、代わりにローンという多額の借金を負うことになります。
一方のREITは、数万円程度の少額から投資をすることができます(実際にいくらから投資が可能なのかは、商品によって異なります)。少額から手軽に不動産に投資がしてみたいという方にも適した方法だといえるでしょう。

・インフレに強い

REITは、不動産投資法人が不動産の運用によって利益を上げるものです。そのため、現物の不動産を購入する不動産投資と同じく、インフレに強いというメリットがあります。

・プロに任せられる

不動産を自分で購入して運用するには、不動産や税金に関する多くの知識や労力が必要になります。
REITは、こうした面倒をすべてプロの不動産投資法人に任せることができます。自分自身で運用して利益を上げていくというおもしろみや自由度は低いものの、手軽に不動産で資産を運用できるという点は大きなメリットになるでしょう。

REITのデメリット

REITは分散投資ができることや分配金が高いことから、ミドルリスク・ミドルリターンであると考える投資家もいます。しかし、REITにもさまざまなリスクがある点を知っておきましょう。

・不動産投資法人の上場廃止や倒産リスクがある

REITは、不動産投資法人によって証券取引所に上場されており、株式のように売買をすることができます。しかし、上場の条件を満たすことができなくなれば、上場廃止ということになります。上場廃止が決まったら、廃止するまでのあいだにREITの売却をしなければなりません。売却額はそのときの基準価格になりますので、場合によっては売却額が投資額を大きく下回る可能性があり、その場合は損することになります。
また、株式投資の場合と同様、不動産投資法人自体が倒産してしまうリスクもはらんでいます。

・金利変動で価格や分配金が変動

金利が上昇すると、不動産投資法人が銀行から融資を受ける際にかかるコストも高くなってしまいます。そのため、金利が上昇することで分配金が減少したり、REITの価格自体が影響を受けたりする可能性があります。

・災害や物件価値の低下で価格や分配金が変動

災害が起こって投資している不動産が被災したり、不動産の価格が低下したりした場合も、REITの分配金や価格が下落するおそれがあります。

不動産投資にもREITにもメリットとデメリットがある

不動産投資とREITは、どちらもメリットとデメリットを併せ持っています。どちらか一方が特に優れているというものではありませんので、自分の投資スタイルに適した投資方法を選びましょう。
より手軽に少額で投資をしたい方はREIT、自分自身の手腕で利益を上げていきたい方は不動産投資がおすすめです。