タワーマンションの人気はここ数年とどまることを知らず、各地で建設されています。そんなタワーマンションに憧れを持ち、購入を検討している人もいるでしょう。
マンションの購入は、もし不都合があっても気軽にやり直せない大きな選択です。購入に踏み切る前に、タワーマンションにどのようなメリットとデメリットがあるのか知っておきましょう。
人気のタワーマンション!購入前に知りたいメリット・デメリット
- マンションバリューマガジン編集部
- 株式会社マーキュリー
タワーマンションの定義とは?
どのような建物をタワーマンションと呼ぶのか、具体的な定義は決まっていません。「タワー」や「タワーマンション」と宣伝でうたったり、マンション名として名付けたりすることは、どのようなマンションでも可能です。
一方、「超高層建築物」に分類される建物は、建築基準法で60m以上と決められていて、それを境に建築基準法で構造耐力にきびしい条件が設けられています。60mはマンションの場合、おおよそ20階建て以上の高さ。そのため、20階建て以上のマンションについて、「タワーマンション」と呼ぶ場合が多くなっています。
そもそも、タワーマンションがたくさん作られるようになったのは、1997年に建築基準法・都市計画法が改正されたことが発端とされています。それ以前にもタワーマンションはいくつか建てられていましたが、法改正によって建築の基準が緩やかになり、高層建築物が作りやすくなりました。
このように、タワーマンションの歴史はそれほど長いものではありません。今後、築40年、築50年といったマンションが増えるにつれて、新たな課題が出てくる可能性があることは、頭の片隅に入れておくべきでしょう。
タワーマンションのメリットは?
タワーマンションにはさまざまなメリットがあります。改めて、どのようなポイントが人気の理由なのか見てみましょう。
眺望の良さ
タワーマンションの魅力は、なんといっても眺望の良さでしょう。周囲の建物に遮られず、遠くまで見通せる眺望は、戸建てや低層マンションでは味わえないものです。ただし、タワーマンションの低層階に住む場合、眺望を満喫することは難しいかもしれません。眺望を期待してタワーマンションを選ぶ場合は、階数を重視する必要があります。
タワーマンションの中には、ジムやレストラン、ラウンジ、プールといった共用施設を高層階に設けているところもあります。このようなマンションなら、住まいが低層階でも眺望を楽しむことができます。
敷地にゆとりがある
建築基準法には、建物の敷地内に住民以外の人が立ち入れるオープンスペースを作ることで、定められた容積率等を緩和させられる「総合設計制度」があります。この制度を利用することで、建物の高さや大きさなどの制限が緩和され、より大きなマンションが建てられるようになるのです。
タワーマンションには、この制度を利用しているところが多く、自然と敷地にゆとりができやすくなります。道路や隣の物件とのあいだが広くなることから、圧迫感が少なく、広々と暮らせます。
耐震性能が良い
建築基準法では、マンションの高さが高くなればなるほど建築基準がきびしくなります。また、タワーマンションは比較的築年数が新しい物件が多いことから、耐震基準も新しい法律に合致するように作られています。耐震技術も日々進歩しており、揺れに耐えられる「耐震構造」だけでなく、揺れを伝えにくくする「免振構造」や、地震の揺れを吸収する「制振構造」のタワーマンションも多くあります。
タワーマンションはその高さから、地震のような災害に弱いイメージがある人もいるかもしれません。しかし、耐震性能の高い新しいタワーマンションであれば、安全性はかなり高いといえるでしょう。
共用施設の充実
タワーマンションは、共用設備が充実した物件が多くなっています。ゲストが宿泊できる部屋やラウンジ、コンシェルジュサービス、クリーニングサービス、ジム、バーなどのほか、スーパーや保育施設、レストランなどが併設されているマンションもあります。
共用施設の維持管理は、各戸の支払う管理費でまかないます。タワーマンションのような大規模なマンションでは、1戸あたりの費用負担を軽くでき、共用施設を充実させられる傾向があります。マンションの敷地内で生活に必要なものやサービスの多くをカバーできることは、高い利便性や快適性につながります。
セキュリティの充実
そもそも高層マンションは、戸建てや低層の共同住宅に比べて、侵入窃盗被害が少ない傾向があります。さらに、タワーマンションには、オートロックや監視カメラ、居住階にしか止まらないエレベーターシステム、管理人の常駐など、さまざまなセキュリティシステムが導入されています。外部の人間を簡単に中に入れない仕組みになっており、安心して暮らせる環境が作られています。
資産価値が下がりにくい
タワーマンションは、一般的な共同住宅に比べて資産価値が下がりにくいといわれています。これは、タワーマンションが長期的に住みやすい環境を生み出すいくつもの条件を兼ね備えているからでしょう。
資産価値の落ちにくいマンションの特徴はさまざまですが、その中には立地や構造、管理などの良さが挙げられます。タワーマンションの場合は大手デベロッパーが開発していることもあって、これらの条件がそろった建物が多いです。すべてのタワーマンションの資産価値が下がらないわけではありませんが、下がりにくいといえるでしょう。
ステータスがある
タワーマンションには、一定のステータスがあります。その高さから地域のランドマークのような存在のタワーマンションもあり、そこに住むことに優越感を感じることもできるでしょう。
人によっては、帰ってくるたびに「ここに住んでいるんだ」という満足感を得られるかもしれません。
駅近物件が多い
タワーマンションの多くは、立地にこだわって作られています。駅直結のマンションや、地下街から雨に濡れずに帰れるマンションも多く、快適に暮らせます。
どこの駅でも基本的に駅周辺の地価は、離れた土地よりも高くなります。そういった場所に建てられるのは、大手デベロッパーが開発を行うことの多いタワーマンションならではでしょう。このような駅近物件は、実際に暮らす上での利便性が高いだけでなく、資産価値という面でのメリットにもなります。
タワーマンションにデメリットはある?
利便性や快適性、下がりにくい資産価値など、さまざまなメリットのあるタワーマンションですが、悪い面についても知っておく必要があります。タワーマンションならではのデメリットをまとめました。
維持費が高い
タワーマンションは、低層マンションに比べて管理費や修繕積立金が高い傾向があります。これは、設備が充実しているためと、メンテナンスにお金がかかるためです。
さらに、管理費や修繕積立金は、当初の金額がずっと続くとは限りません。建物の老朽化が進めば進むほど、管理や修繕にかかる金額も高くなるため、管理費や修繕積立金が値上がりする可能性があるのです。
将来的な費用負担が未知な部分がある
タワーマンションは、比較的新しい建築物であることから、将来的にどの程度の費用が必要になるのか、はっきりわからない部分があります。設備の劣化が進んだときや、共用施設が使われなくなったときどうするかといったタワーマンションの将来については、徐々に判明するものでしょう。
とはいえ、充実した設備を維持していくために、ある程度の費用が継続的に必要であることは間違いありません。マンションの財政状況や修繕にかかる費用によっては、将来、修繕積立金が不足し、一時金を求められる可能性もあるのです。
引越しがたいへん
タワーマンションの高層階に引っ越す場合、エレベーターの使用許可が必要か、どこまで養生が必要かといった管理規約の確認をしなければいけません。事前にマンションの防災センターなどに連絡する必要があったり、搬入経路を確認しておいたりする必要もあります。さらに、引越しの際のエレベーターが予約制の場合、引越しシーズンは混み合っていて予約が取れず、日にちを変更しなければいけない可能性もあります。
そもそも、2階以上の建物に引っ越す場合は、引越し料金が加算されることが多く、タワーマンションの場合は養生作業や防災センターへの事前連絡、搬入経路の複雑さなどから、費用が高くなる傾向があります。
また、ピアノやベッドなど、エレベーターで運ぶのが難しい大型家具を、クレーンなどで吊り上げてベランダから搬入する場合は、さらに高額な料金がかかってしまいます。対応できない引越し業者もありますので、事前に確認しておきましょう。
管理組合の運営がたいへんな場合がある
タワーマンションには、非常に多くの住人が入居しており、その分管理組合の構成人員が多様になるでしょう。自分たちが住むためにマンションを買う人もいれば、投資目的で購入する人もいます。セカンドハウスとして利用したい人もいるかもしれません。
マンションの管理や自治は、基本的に管理組合によって行われますが、構成する人の目的や立場が多様になればなるほど、意見がまとまりにくくなります。
停電時の移動の問題
タワーマンション内では、エレベーターが必須です。ところが、災害などが起こって停電になると、エレベーターが動かなくなってしまいます。タワーマンションにも必ず階段は設置されていますが、20階、30階と高層階に住んでいる場合、階段での移動は大きな負担です。マンション内の共用施設も気軽に利用できなくなってしまうでしょう。タワーマンションに暮らす上で、停電時の移動は大きな問題のひとつです。
共用施設の予約が取りにくい
タワーマンション内のゲストルームやシアタールームなどの共用施設は、予約の上で利用することになります。しかし、タワーマンションで暮らす人が多ければ多いほど、希望日に予約は取りにくくなってしまいます。行事の日や近隣でイベントがある日などは、競争率は高くなるでしょう。
せっかく充実した共用施設があるのに、希望する日に予約が取れなくて使えないという事態も考えられます。
地震の際に揺れやすい
特に高層階では、地震が起こった際に揺れを大きく感じる場合があります。タワーマンションは耐震性能に優れているため、たとえ揺れが大きくても、建物自体が倒壊したり、損傷を受けたりする可能性は高くありません。しかし、揺れによって室内の家具などが転倒する可能性はあります。
高層マンションの揺れのリスクを軽減したい場合は、免振構造を採用しているタワーマンションを選ぶのがおすすめです。高層階であっても、地震の揺れをある程度軽減できる構造になっているからです。
購入する階数で格差を感じることがある
一般的に、タワーマンションは高層階のほうが資産価値は高いとされていて、販売価格も高額です。そのため、低層階の住人と高層階のあいだに、格差を感じてしまうこともあるかもしれません。
タワーマンションを購入する場合は、マンション内の格差がどの程度気になるかについても考えておきましょう。
タワーマンションはメリットとデメリットを考えて検討しよう
タワーマンションには、さまざまなメリットとデメリットがあります。このうち、どれを重視するのかは、家族構成やライフスタイル、好みなどによって異なるでしょう。
眺望に興味がない人もいれば、修繕積立金の値上がりは些末なことだと感じる人もいます。自分と家族にとって何が優先事項なのかを考えた上でメリットとデメリットを比較し、物件選びをすることをおすすめします。
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