マンション一括購入のメリット・デメリットとは?

マンションを一括で購入すれば、月々のローンの支払いがなく、その分の金利を支払う必要もありません。住宅ローンを組めば30年や35年と、長期にわたって返済を続けることになりますから、これは大きなメリットでしょう。
しかし、一括購入するか、住宅ローンを組むのかは、その後の資金計画にも関わってくる問題です。「現金があるなら一括」と安易に考えずに、メリットとデメリットを踏まえて検討してみましょう。

マンション一括購入のメリットは?

マンションを一括購入するメリットとして多くの人が思い浮かべるのは、「金利を支払う必要がない」ことでしょう。しかし、一括購入のメリットはそれだけではありません。一括購入で得られる4つのメリットについてご説明します。

1 利子や手数料といった費用を節約できる

マンションを一括購入する場合は、利子や手数料など、住宅ローン契約にかかる諸費用がかかりません。
現在、住宅ローンは非常に低金利ですが、一般的に借入額が高額で返済期間が長期にわたる場合が多いため、最終的な支払い利息も高額になりがちです。さらに、住宅ローンを組む際は、融資手数料や保証料などのほか、印紙代、抵当権の登記費用といった初期費用がかかります。
一括購入すれば、このような費用は必要なくなりますから、それだけで数百万円の費用を圧縮することも可能です。

2 ローンを払い続ける必要がない

一括購入するということは、住宅ローンの支払いがないということですから、月々かかる住居費の金額を大幅に圧縮できます。
多くの家庭では、住居費は月の固定費の多くを占めるものです。特にマンションを購入すると、ローン返済のほかに、管理費や修繕積立金の支払いが必要になります。一括購入すれば月々の支払いは管理費と修繕積立金だけですから、固定費負担を軽減させることができるでしょう。将来的な資金繰りを楽にする意味で大きなメリットだといえます。

3 銀行に提出する書類をそろえる必要がない

住宅ローンを組む場合、年収を証明するための書類や団体信用生命保険(団信)に加入するための告知書など、多くの書類を用意する必要があります。入手先は市町村役場や税務署、勤務先などさまざまで、意外と骨が折れる作業です。
マンションを一括購入する場合、そういった書類の準備が必要ありません。書類の準備を負担に感じる人にとっては、これもメリットになるでしょう。

4 契約手続きがシンプルでスピーディー

住宅ローンを組まずに購入する場合、金融機関の審査を受ける必要がないため、スピーディーに契約の手続きを進められます。
特に、中古住宅の購入を検討している際など、売り主が早期売却を希望している場合、一括購入できることをアピールして値引きや購入条件などの交渉ができる可能性もあります。

マンション一括購入の流れ

マンションを一括購入する場合、購入申込みをした際に代金を支払うわけではありません。
ここでは、マンション一括購入時の流れについて見ていきましょう。

1. 購入申込み

購入の申込みは、一括購入をする場合でも、住宅ローンを組む場合でも、同じように行います。これは、正式な契約の取り交わしではなく、購入する意思があるということを書面で提示するものです。
購入申込みをしておくことで、「後から購入を希望した人が契約を進めてしまう」といったことが起こらなくなります。購入するマンションが決まったら、まずは購入申込みをしましょう。

2. 売買契約

購入申込みが受理されたら、正式な売買契約を結びます。このとき、手付金を支払うことになるため、まえもって準備しておきましょう。通常は物件購入の申込みから1~2週間程度で売買契約となります。新築分譲マンションの場合、この時点では物件が完成していないこともあります。
なお、住宅ローンを組む場合は、この後にローンの本審査を行うことになりますが、一括購入の場合はもちろん不要です。

3. 物件代金支払い

不動産会社や売り主の立ち会いのもとで物件を確認したら、手付金を除いた物件代金の支払いを行います。新築分譲マンションの場合はマンション完成後となります。
なお、元々建物が完成している場合などは、手付金の支払いを行わず、売買契約と同時に全額を支払うケースもあります。

4. 物件引き渡し

物件代金の支払い完了後、速やかに物件の引き渡しが行われます。代金の支払いと引き渡しはほぼ同時と考えていいでしょう。売買契約から1~4週間程度で引き渡しとなることが多いようです。
売り主が物件代金の受け取りを確認したら、引き渡しとともに売り主から買い主へ所有権移転登記等の手続きを行います。

マンション一括購入のデメリット

マンションを一括購入すると、利子や手数料の節約といったメリットがあります。しかし、必ずしも一括購入が分割購入よりも優れた手段とはいえません。一括購入を行うことで起こるデメリットについても知っておきましょう。

1 手元の現金が大幅に減少する

マンションは非常に高額な買い物ですから、一括購入するとなると、まとまった現金を失うことになります。「宝くじや投資などで、3億円の資産を築いた」などという人であれば、たとえ3,000万円のマンションを一括購入したとしても、手持ち資金の10%分にしかなりません。このような人にとっては、手元の現金が減るというデメリットはそれほどないでしょう。

ただし、手元に3,500万円しかない人が3,000万円のマンションを一括購入した場合、登記費用や仲介手数料、引越し代金などで、ほとんど手元に現金は残らないでしょう。そうなると、失業や病気のような不測の事態が起こったときに、対応できなくなるリスクが高まります。

2 住宅ローン控除が受けられない

住宅ローン控除は、住宅ローンを組んで自分が住むためのマンションや一戸建てを購入した場合に、10年間または13年間(2020年12月31日までの購入の場合)、その年の借入残高の1%を所得税や住民税から控除される制度です。住宅ローン控除を受けるには、年収や借入期間などいくつか条件がありますが、ローンの金利負担を低減させるために設定されました。

超低金利時代が続いている昨今、住宅ローンの変動金利は、0.5%前後です。一方、住宅ローン控除は1%ですから、控除を受けることで金利が相殺されて余りが出る逆転現象が起こっています。保証料等の費用を考慮する必要はありますが、たとえ金利分を支払っても、住宅ローンを利用したほうがいい場合もあるでしょう。

3 税務署から「お尋ね」が来ることがある

マンションを一括購入した場合、税務署から「◯◯のお尋ね」と書かれた文書が送られてくることがあります。これは、購入資金の出どころや贈与税の納税義務がないかなどを調査するためで、自分で貯めたお金で購入した場合や、親からの贈与があったが正しく申告している場合などは、特に問題ありません。尋ねられたことについて、正直に文書に書き込んで返送しましょう。
マンションを一括購入したら必ずお尋ね文書が送られてくるわけではありません。しかし、仮に送られてきた文書を無視していると、督促状や電話が来たり、呼び出しを受けたり、場合によっては税務調査を受ける可能性があります。

一括購入と住宅ローン、どちらがお得?

もし、ある程度まとまったお金を持っていて、一括購入するかどうか迷っている場合は、頭金を購入代金の1~2割にすることで、金利を下げられるか金融機関に確認してみるのもおすすめです。頭金を多く入れれば金利を下げることを明言している金融機関もありますので、そのようなところを利用するのもいいでしょう。

その上で、住宅ローン控除をフルに利用し、控除が終わったタイミングで繰り上げ返済すれば、手元資金を大幅に減らすことなく、住宅ローン控除を活用することができます。住宅ローン控除が終わるまでの期間である程度資金を貯められれば、繰り上げ返済後に手元にまったくお金がなくなる心配はありません。

また、一括購入せず、手元に残した資金で住宅ローンの支払い金利以上の資産運用を目指すというのもひとつの方法です。住宅ローン金利は0.5%ですから、それほど高い目標ではないでしょう。

一方、「高額な住宅ローンを組むのが心理的な負担になる」「団体信用生命保険に加入できない関係で割高な金利でしか住宅ローンが組めない」といった理由がある人にとっては、一括購入にメリットがあります。

マンションの一括購入にはメリットだけでなくデメリットもある

月々の支払いは少なくしたいことから、「現金があるなら一括購入してしまえばいい」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、マンションの一括購入には、手元の現金を大幅に減らしてしまうデメリットがありますので、資金計画や今後のライフプランを考えた上で選択をすることが大切です。ベストな選択が何か、家族で話し合ってみましょう。