晴海フラッグとは?オリンピック閉幕後の湾岸エリアの行方

晴海フラッグとは?オリンピック閉幕後の湾岸エリアの行方

2020年に開催が迫る東京オリンピック・パラリンピックに向けて、施設の開発やインフラの整備が進んでいます。中でも、競技場や選手村といった施設が集中する湾岸エリアの変貌は顕著で、タワーマンションの建設が相次ぐなど居住地としての人気もこれまでに以上に高まっています。

ここでは、オリンピック閉幕後に選手村を住宅として転用する「晴海フラッグ(HARUMI FLAG/ハルミフラッグ)」をはじめ、これからの湾岸エリアについて考えます。

湾岸エリアとは?

湾岸エリアは、東京湾の沿岸に広がる中央区月島・勝どき、江東区豊洲・東雲・有明、港区台場といった地域を指します。

湾岸エリアは元々埋め立て地で、工場や飛行場、倉庫などが立ち並ぶエリアでしたが、1990年代から高層マンションが開発され始めました。2000年前後には、企業が大規模なリストラを断行して事業再編を図る動きがあり、さらにグローバル展開を進める企業が用地を手放します。その、空いた土地にタワーマンションの建設ラッシュが到来し、現在の街並みとなりました。

非日常感を求めて火がついた湾岸エリアの人気

湾岸エリアの開発初期に販売されたマンションは、いずれも好調な売れ行きを記録。湾岸エリアは、一躍して人気のエリアに躍り出ます。その背景には、大きく2つの理由がありました。

・都心へのアクセスの良さ

湾岸エリアは、海に面したリゾート感のある土地でありながら、都心までのアクセスに優れているという物理的なメリットがあります。ひとつの街としての住みやすさを念頭に置いて、計画的に整備された街並みに魅力を感じる人も多いでしょう。タワーマンションの建設ラッシュが始まったころから、「職住近接」を求めて湾岸エリアを選ぶ人が増えました。

・「タワーマンションに住む」という新しい文化

湾岸エリアに建設されたタワーマンションは、入居者だけが利用できる充実した共用部やサービスなど、「新しい暮らし方」を人々に示しました。自宅の一部である共用部にプールや豪華なゲストルームがあったり、コンシェルジュが24時間常駐してきめ細やかなサービスを提供してくれたりといった非日常感が注目を集め、「ホテルのような暮らし」に憧れる人を中心に人気が高まりました。

湾岸エリアの今

2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックは、景気の変動や自然災害などを理由に、「コンパクトな五輪」をコンセプトに開催計画が進められています。湾岸エリアにはオリンピック関連施設の85%が集まり、37もの施設が存在します。

このことから、湾岸エリアは「オリンピック特需」ともいうべき盛り上がりを見せており、周辺では新たなタワーマンションの建設ラッシュが続いています。

選手村跡地が新たな街となる晴海フラッグ

オリンピック閉幕後の湾岸エリアを考える上で欠かせないのが、13ヘクタール(東京ドーム約2.8個分)に及ぶ広大な土地に建設された、東京オリンピック・パラリンピックの選手村「晴海フラッグ(HARUMI FLUG)」です。

オリンピックの閉幕後は、選手が宿泊していたゾーンをリフォームして分譲マンションとして売り出すことが決まっています。2019年のゴールデンウィークにはモデルルームが一般公開され、事前予約した1,000組もの人たちが見学に訪れました。

晴海フラッグの分譲住宅と賃貸住宅を合わせた戸数は5,632戸、計画人口は12,000人です。居住エリアは4つに分かれ、小中学校や商業施設、公園なども建設されることが決まっています。ひとつの街が新たに生まれるといっても過言ではないでしょう。

三井不動産レジデンシャルを中心に、大手デベロッパー11社がそろい踏みするマンションプロジェクトでもあり、注目度は非常に高いといえます。

湾岸エリア内ではかなり割安感がある

晴海フラッグの購入費用は、平均坪単価が300万円ほどといわれています。晴海フラッグがある中央区の平均坪単価は約370万円、隣接する港区の平均坪単価は500万円を超えることを考えると、お値打ち感があります。

価格が抑えられる理由としては、選手村として使われていた建物をリフォームして分譲住宅にするため、新築同様でもあくまで中古物件であるということ。加えて、晴海フラッグの開発は東京都が主導する「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業」の一環であり、東京都が所有する用地であることも理由でしょう。

新たなチャレンジである水素パイプライン

「水素・燃料電池の活用を、東京オリンピック・パラリンピックのレガシーとしたい」という東京都の意向を受けて、街区向け水素供給事業と車両向け水素供給事業が行われることも、晴海フラッグの特徴です。自然災害に対する備えの重要性が叫ばれる今、ほかにないインフラの導入は大きなチャレンジといえるでしょう。特に、マンション共用部における水素エネルギーの活用は日本初です。今後、CO2を発生させない水素社会が広く浸透すれば、晴海フラッグはその先駆けとして、より価値が高まることでしょう。

さらに、晴海フラッグの街区には、750台以上の防犯カメラが設置され、防災センターとセキュリティセンターが24時間監視するという、高い防犯性を備えています。これは、警視庁が新宿区歌舞伎町地区に設置している防犯カメラの台数が55台であることを考えると、かなりの台数といえるでしょう。

ただし、エコや防犯を重視した最新施設であるがゆえに、どうしても維持費が高くなります。購入費用がリーズナブルであるとはいえ、維持費がかさむ点をどうとらえるかは、意見が分かれそうです。

湾岸エリアの大きな課題となる交通インフラ

晴海フラッグを含め、湾岸エリアに住む際の最大の課題とされるのが、交通インフラです。湾岸エリアは、都心までの物理的な距離は近いものの、近くに地下鉄やJRの路線がなく、利便性が高いとはいえません。

そこで注目されているのが、都心部と湾岸エリアを結ぶ新たな交通インフラとして導入が決まっている、東京BRT(Bus Rapid Transit:バス高速輸送システム)です。BRTは、専用レーンや専用道路の上を走るため、渋滞などに巻き込まれることなく、効率的に多くの乗客を輸送できるという特徴があります。

東京BRTは湾岸エリアの交通インフラの救世主?

東京BRTは、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に一次のプレ運航、オリンピック閉幕後に二次のプレ運航がスタート。オリンピック後の2022年には、路線を4本に増やして本格運行を予定しています。東京BRTが本格的に運行し始めると、湾岸エリアから新橋や虎ノ門まで約10分で行けるようになり、利便性は格段に上がるでしょう。

ここで気を付けたいのは、メリットばかりではないことです。

現状の運行計画では、1台の定員数は最大129人、運行本数はピーク時でも毎時6本となっており、都心部を走る山手線や大江戸線のような輸送力は期待できません。晴海フラッグへの入居がスタートし、人口が加速度的に増加した場合、通勤通学の時間帯はかなりの混雑が予想されます。晴海フラッグから最寄り駅である勝どき駅まで、歩いて20分ほどかかりますが、結局は東京BRTをあきらめて、勝どき駅を利用する人が増えることになるかもしれません。

もちろん、運行開始後の様子を見ながら増便する可能性も十分に考えられますし、地下鉄やJRの路線が延伸する可能性もありますが、現時点では将来の見通しは不透明です。晴海フラッグを含めた湾岸エリアのマンションについては、「アクセス難」という大きな課題があること、その課題を改善する可能性がある東京BRTの全体像がまだ見えていないという不確定要素があることを理解して、検討することが重要です。

オリンピック閉幕後の湾岸エリアはどうなる?

交通インフラの問題はあるにせよ、湾岸エリアの人気は依然として高いままです。一方で、「東京オリンピック・パラリンピックが閉幕したら中古物件が増え、マンション価格が急落する」「マンションの供給過剰で価格が落ちる」といった話も聞こえてきます。

これらの話はまことしやかですが、実際には湾岸エリアの不動産価格が暴落したり、マンションが余ったりすることはほぼないでしょう。オリンピックを控えた今ほどではないにせよ、一定の水準で推移していくと考えられます。

その理由は以下の3つです。

1 「湾岸エリアのタワーマンションに住む」というブランドが確立している

湾岸エリアのタワーマンションは、そこに住むこと自体がブランド化しています。オリンピックが終わったからといって、「湾岸エリアのタワーマンションに住んでいる」価値を手放す人が急増するとは考えられません。むしろ、オリンピックに向けて街並みが整備されたことで、さらなる需要を呼び込むことが考えられるでしょう。

2 人口の流動性が高く資産性の保持が見込める

湾岸エリアのタワーマンションを、高度経済成長期に形成されたニュータウンの栄枯盛衰になぞらえ、将来を悲観視する向きがあるようです。しかし、人口の流動性の有無という点で、決定的な違いがあります。

ニュータウンは、利便性の悪さや物件の古さ、使い勝手も悪いことなどから新たな人口流入がほぼありません。一方で、湾岸エリアはその立地やブランド力、マンション自体の住み心地の良さなどから、一定数の人口流入が続くため、資産価値を保持することができます。

3 タワーマンションが高齢化にフィットする

タワーマンションには、充実した共用部やコンシェルジュサービスなど、マンションから出なくてもある程度の生活を維持できる環境が整っています。

こうした住環境は、若い人よりむしろ外出に困難が伴う高齢者向きであり、新たな需要を喚起する可能性があります。

資産価値は維持できるが、個体差には注意が必要

湾岸エリアのタワーマンションの人気は、その流動性や資産性の高さから、オリンピックの閉幕後も衰えることはないでしょう。人が集まる土地は栄えますから、現時点で問題視されている交通の便なども、ゆくゆくは改善が期待できます。

ただし、建設から15年前後が経過したマンションは大規模修繕の時期を迎えており、資産価値に差が出ることは考えられるでしょう。管理組合の修繕積立金が不足しているマンションでは、建物が劣化したり、災害リスクが高くなったりすることも考えられます。これからマンションを購入する際には、こうした個体差も視野に入れて資産価値を考えるようにしましょう。

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現在価値

現在価値とは、マンションバリュー独自のロジックによって算出された現時点における推計価格です。

マンションバリューでは、同一マンション内における新築時価格の平均に、新築時価格と中古価格から割り出された騰落率を掛け合わせ、現在価値を算出しています。

※特許出願中

騰落率

騰落率は、マンションの価格が新築時と現在とで、どれだけ変化があったかを示したものです。新築時と現在の価格が変わらない場合は騰落率0%となります。

※実際の流通価格を保証するものではありません。予めご了承ください。

マンションスコア

【マンションスコアとは】
不動産マーケティング会社のマーキュリーが20年間蓄積したデータを用いて分譲マンションを定量的・客観的に評価した独自基準です。
マンションデータを「資産性」「立地」「建物」の3つの視点でポイント化し、その合計を総合点としています。

【資産性とは】
資産性とは現在価格や流通率、再販価値などをもとに採点したものです。

【立地とは】
立地とは最寄り駅までの距離や最寄り駅の駅力(乗降客数)、住環境(用途地域)などをもとに採点したものです。

【建物とは】
建物とは物件の築年数や共用部の充実度、事業主の信頼度などをもとに採点したものです。

値上がり・値下がり率

過去に2件以上の中古事例があったマンションを対象として、直近2件の中古事例の騰落率を比較、差をポイント換算したものです。

値上がり・値下がり率の例

中古事例1

  • 募集時期 2017年3月
  • ○○マンション101号室
  • 新築販売時3,000万円
  • 中古流通時2,800万円
  • 騰落率 -6.67%

中古事例2

  • 募集時期 2017年4月
  • ○○マンション303号室
  • 新築販売時4,500万円
  • 中古流通時4,600万円
  • 騰落率 +2.22%
-6.67% → +2.22% = +8.89ポイント

中古事例

2009年以降、マンションバリューが独自に収集した事例の一覧です。
※成約価格ではありません。

賃貸事例

2013年以降、マンションバリューが独自に収集した事例の一覧です。
※成約価格ではありません。

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